【感想】NETFLIX映画「ホンモノの気持ち (ZOE)」邦題はベタベタですが中身は割と新鮮な恋愛映画でした

NETFLIXオリジナル、そしてSF映画とくれば、恋愛ものだろうが見ないわけには行きません。

概要

2018年のNETFLIXオリジナル映画。アメリカ。原題は「ZOE」、邦題は「ホンモノの気持ち」。恋愛映画ですが、SF映画でもあります。表現手法は全く異なりますが、人間とAIの恋愛関係をテーマとしている点で、ホアキン・フェニックス主演の「her 世界でひとつの彼女」と近い気がしました。恋愛モノはほとんど見ないんですが、SF要素があると俄然見れます。

監督はDrake Doremusドレイク・ドレマス、恋愛とかロマンスをメインに作ってる人みたいですね。あまり見ないジャンルなので見たことある作品は無かったです……

あらすじ

運命の相手と恋に落ちる。人間が生きる上で最も大切なこのプロセスを、科学的に操作できる世界。でもそれは、本当に恋と呼べるの?

ホンモノの気持ち | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

男女の関係が続く可能性を、診断プログラムで正確な数値としてはじき出せる世界。これだけ書くと「ブラック・ミラー」のエピソードにありそうな設定ですが、初恋の時の感情を呼び起こす薬があって、見知らぬ人とその薬を飲んで楽しむのが流行っていたり、恋愛感情をプログラムされたアンドロイドがいたりする世界です。あれ、どれもブラック・ミラーみたいですね(笑)。作風はあんなにシニカルでは無いので安心して下さい。むしろ徹底的に恋愛ものと言うか、フランス映画のように柔らかでどこかアンニュイな雰囲気の映画です。

要するに、「薬で恋愛感情は呼び出せる」「恋愛が続くかは数値で診断できる」「アンドロイドは完璧な恋愛をプログラムされている」世界で、アンドロイドに感じてしまった“運命”はホンモノなのか? 飛び込む価値はあるのか? というようなテーマの恋愛映画でした。

フォールアウトのファンとしては、アンドロイドではなく“シンセ”という呼ばれ方なのが最高です。

キャスト

Ewan McGregorユアン・マクレガーですよ! スターウォーズ以降、若きオビ・ワンの印象強いんですけど、そういえば彼のSFと言えば「アイランド」がありましたっけ。吹き替えは森川智之もりかわ としゆきさん、多く吹き替えをこなす安心の声です。

ヒロインはLéa Seydouxレア セドゥ、ちょいちょい見たことあるなぁーって感じのフランス美人です。めっちゃボンドガールやってそうですが、やってました。ミッション・インポッシブルにも出てますね。吹き替えは渡辺明乃わたなべ あけのさん、こちらも吹き替えでめっちゃよく聞く声です。

もうひとり、この前見たNETFLIX映画「すべての終わり」主演だったテオ・ジェームズも出ていました。ちょうど最近見たドラマ版ファーゴのシーズン3にはユアン・マクレガー出てたし、それまでそんなに頻繁に見てなかった役者が見た映画に立て続けに出てくるこの現象はなんと言うのでしょうか。

感想

というわけで、ネタバレです!
見てない人はダメー!!

アンドロイドが登場する映画にありがちな、アンドロイドと人間の関係とか、アンドロイドが感情を持つ意味とか存在理由とか差別、そういう部分にはあまり突っ込まないので、押し付けがましさが無く見やすかったですね。ちょっと前にPS4のデトロイト ビカム・ヒューマンやってたのもありますけど(笑)。

アンドロイドだからといって変に構えるでもなく、無理に彼らにも人権がなどと過剰に擁護するでもなく、自然に受け入れる人間。そして自分がアンドロイドだと気がついても、自暴自棄になるでもなく人間を恨むでもなく、自然に受け入れるシンセ。こういう描かれ方って映画ではあまり見たことがなかったので、新鮮で心地よかったです。

アンドロイドだから涙が出ないとか、アンドロイドをヒロインとする映画ではわりと定番なシチュエーションですが、そういうのも変に騒ぎ立てないのが良かった。その分、嫉妬してみたり、別れたあとの嫌味なサッパリ感とか、ほんとにアンドロイドかよって感じでしたけど(笑)。

映画としてはあくまで恋愛映画なんですけど、ヒロインが最初からベタ惚れ状態(そういうアンドロイドなので仕方ないのです)なのでいわゆる「馴れ初め」が描かれずテンポがいいです。また、大きな障害である「ヒロインがアンドロイド」も比較的最初の方でわかるので、後半になって「彼女は実はアンドロイドだった! この障害を乗り越えられるのか!?」みたいなベタな展開でないのもいいですね。

「ヒロインが実はアンドロイド」であるとか、「恋愛診断は0%」であるといったいわゆる恋の障害は先に出し切って、その上での二人の行動を描くのがなんだかフェアだなぁと思いました。恋愛映画だと一般的に登場人物の感情の振り幅が大きいんですが、この映画では割とフラットなので見やすいです。

一点だけ、少しフワフワしていたのはテオ・ジェームズ演じるもうひとりの男性型のアンドロイド。嫉妬したりしてたので、典型的な恋敵の役回りかな? と思ったんですが、終始いいヤツで特に何か行動するわけでもない。恋愛用のアンドロイドとしてヒロインに惚れるので勘違いしてしまいましたが、普通の恋愛映画であれば女性として出てきそうな役回りなんですね。あくまで同じアンドロイドとしての見方を説明するキャラクターでした。

恋愛モノとしては良い意味で「何もなく」て、その分主人公の気持ちを丁寧に描いてますが、それでいて退屈というわけでもない、見やすい映画でした。映像の雰囲気も上品で、絵としても綺麗でした。
目に見えるようなSF要素は薄いし、最後の「なぜか涙が出るようになる」はSFファンとしてはどうなの、という気がしなくもないですが(笑)、恋愛映画に興味がなくても、アンドロイドの在り方系のSFのひとつとして楽しめました。たまには恋愛映画も悪くないですね。

あ、わかりやすいので“アンドロイド”と書きましたが、劇中“シンセ”だったのはすごく新鮮で良かったですよね。フォールアウト以外で言ってるの初めてかも。フォールアウト好きならそれだけで見る価値ありますよ(嘘)。

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