【PS4】「キルラキル ザ・ゲーム -畏怖-」レビュー。良いところ悪いところ。まあ、ファンサービスだから…
Trigger史上、いやアニメ史上最高傑作と言っても過言ではないアニメ『キルラキル (2013)』。そのオリジナルゲーム作品となる『キルラキル ザ・ゲーム -畏怖《いふ》-』が発売されたのは2019年のこと。まだ一年経つか経たないかという新作が、PS Storeのサマーセールでなんと破格の1,038円。
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あまり良い評判がないのは知っていました。しかし見た目は雰囲気ありそうなので、端《はな》からあまり期待をせず、アニメのおまけエピソードのつもりでキャンペーンモードがさくっと遊べればいいかなと購入してみました。案の定、不出来な部分は多いながら、それなりに楽しめましたので、良かったところと悪かったところなどを。そもそも原作のファンだし、言っても千円だったので甘々レビューです。
キルラキルのファンであれば、皐月様の凛々しいお尻を眺めながら、くそカッコいい必殺技を自分で繰り出せるというだけで価値はあるのではないでしょうか。まあ、お値段にもよるとは思いますが……
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正直、この美し過ぎる皐月様のお尻が拝めればだいたい許せるというのはある
ネタバレなしざっくり感想
フルプライスのゲームとして見てしまうと、物足りないのは事実。ところかまわず入る画面遷移やローディング。リップシンクはおろか、口をパクパクするだけのカットシーン。締まりのないダラッとしたテンポのストーリーモード……
でも、あの皐月様を自分の手で動かせるんです。自分の操作に合わせて、くっそカッコいいカット付きの必殺技を繰り出してくれるんです。アニメでは見られない対戦カードで、原作通りのキャラクターが相手に合わせた口上を述べるんです。
そして、ちゃんとトリガーが監修した、しかしアニメとは違うオリジナルストーリーが堪能できるんです。新しいマコ劇場が見られるんです。神衣純潔の最終形態、純潔神髄はこのゲームでしか見られないんです!
それでいいじゃないですか。アニメ原作ゲームってこういうものじゃないですか。ゲームとしては粗削りかもしれない。でも開発の、原作への愛はひしひしと感じる。そんな可愛気《かわいげ》のあるゲームに仕上がっております。
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マコ劇場も健在。ストーリーモードの他、対戦で戦維喪失した時にも見ることができます。
要するに、貴方が“ゲーマー”として、“ゲーム”を遊びたいならまったくもっておすすめしません。買っちゃダメです。貴方が格ゲーコレクターとかなら別ですが……
しかし、自分のようにキルラキルのファンとして、公式から供給されるのは最後であろうキルラキル成分として、アニメのおまけのつもりで楽しむのであれば、さほど期待は裏切らないかと思います。
PS4のサマーセールは終わってフルプライスに戻ってしまいましたが、Steam版であれば常時2,000円です。ストーリーモードはもちろん、皐月様の純潔神髄や、各キャラクター(声優)のおまけボイスなどなど。このお値段ならファンディスクとして十分な価値を見いだせると思いますよ。
総評
「コントローラーを握った豚どもに問う!
貴様はキルラキルを愛しているのか! 心から敬愛しているのか!
ならば黙って遊べ!
でなければ去れ! ここは貴様の居場所ではない!!」
⭕良いところ
⭕雰囲気においては原作を忠実に再現
原作通りの声優陣がフルボイスで喋ってくれるし、キルラキルフォントも健在。澤野弘之《さわの ひろゆき》氏のドラマチックな音楽も原作通り。キャラクターモデルはすしお氏がしっかり監修しており、3Dながら原作の雰囲気がしっかり再現されています。
って言うか、このページにあるスクリーンショット見てどうです? 一見《いっけん》アニメと見紛うばかりのキルラキルぶりじゃないですか!? ゲームだから、これがぐりぐり動くわけですよ!
“戦維喪失”はやっぱり脱げる!? すしお氏の監修熱意がスゴい!? 開発秘話も語られた『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』紹介ステージをリポート【TGS2018】 - ファミ通.com
https://www.famitsu.com/news/201809/21164526.html
ゲームとしての面白さはともかく、原作の雰囲気はかなりのレベルで再現されています。
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例えば、皐月様の遠距離必殺技モーション。アニメ第18話で精神仮縫いされた生徒たちに繰り出した逆さ斬りモーションをしっかり再現しています。
⭕鬼龍院皐月を主人公とするストーリーモード
わたくし、圧倒的に鬼龍院皐月推しですゆえ、これだけでめちゃくちゃポイント高いです。皐月様が主人公。皐月様メインのお話なのです。
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ちなみに、皐月様のストーリー『こころ乱して運命かえて』クリア後は流子が主人公のストーリーを遊べるので、流子ちゃんファンも安心です。『バイオハザード2 (1998)』のようなニコイチのストーリーになっています。まあ、プロット自体はそこまで凝ったものではありませんが……
そのプロットですが、畏怖(IF)の名の通りアニメのイフストーリーになってます。アニメ版のおさらいみたいな作りで、残念ながらファンにとってあまり新しい展開はありません。アニメの名シーンの数々をよくポリゴンで再現してるなぁと感心はしますが、あまり期待はしないことです(笑)。どちらも似たような戦闘を繰り返させられることになります😅
⭕純潔神髄
このゲームのためだけにオリジナルデザインされた皐月様の神衣
『純潔』の最終形態、純潔神髄《じゅんけつしんずい》。流子の
『鮮血』における
『鮮血更衣《せんけつきさらぎ》』ほどの変化はなく、ちょっと手抜き? なんて邪推もしてしまいますが、それでも超サイヤ人ゴッド超サイヤ人な皐月様や、レース風のテクスチャが入ったパンツ部分がえっち過ぎる最高のデザインです。
なにより、ファンであればアニメには登場しなかった純潔の最終形態というだけで大興奮ですよねー。
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青い皐月様が見られるというだけでファンとしては買った甲斐ある
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このパンツ部分のレース柄は本当にもう……😍
⭕声優さんからのメッセージ
〈ボイスライブラリー〉モードには各キャラクターのゲーム中ボイスの他、担当声優さんからのメッセージも入ってます。それぞれは数秒の簡単なものですが、ファンにしたらやっぱり嬉しいですよね。アニメ原作ゲームかくあるべし。
自分のように声優さんご本人にはあまり興味が無いファンに向けて、キャラクターとしてのおまけボイスが入っているのがすごく嬉しかったです。
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「風邪を引くなよ😉」 by 皐月様。最高かよ
❌悪いところ
❌旧来然としたローディング、画面遷移の嵐
ストーリーモードのカットシーンで盛り上がってきたところだろうがどこだろうがお構いなく入る画面遷移やローディングはさすがにちょっと残念な気持ちに。そういえば、昔のゲームってこんな感じだったなみたいな懐かしさもあったけど。
個々のロードは長くないのでそこまで気にはなりませんが、タイミングって大事だなと改めて思いました(笑)。気持ちのテンポがぶった斬りされまくるので…… は! もしかしてキルラキルだからテンポぶった斬りモードなの……!?
❌格ゲーとしての物足りなさ
ゲームとして遊びたいなら希望を持ってはだめだよなんて事を言いましたが、こうも[惜しい]ものを見せられてしまうと欲が出てしまうのが人間と言うもの。やっぱり今日日《きょうび》メインキャラ10人というのは格ゲーとしては物足りないですよねぇ。
格ゲーは原作で活躍しないキャラクターにもスポットライトを当てやすいジャンルなので、宝多《たからだ》金男《かねお》の道頓堀ロボも動かしたかったなぁとか、函館臣子、袋田隆治はじめとする部長陣とか、曲がりなりにも鮮血を着て見せた大暮麻衣子とか、キャラクターもっと出してほしかったなぁというのは大いにあります。せめてアニメ公式サイトで紹介されているキャラクターぐらいは登場してほしかったなー。
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残念ながら使用可能キャラはこの全10キャラ( 〈?〉はランダム)。四天王は使えますが、極制服は初期段階まで。改《あらため》や、更改《さらにあらため》は使えません。
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独特のシステム 『血威表明縁絶』は単純な[じゃんけん]ながら、アニメの口上を述べながら戦う雰囲気をよく再現してて悪くない感じ。体力回復っていうのも格ゲーだと珍しいかも。あと一歩で全体がすごく良くなったのではと感じて勿体ないんですよねー
📶オンラインマッチはかろうじて成立
ちなみに、オンラインマッチもありますが、さほど評判の良くないゲームの、発売から一年後のオンラインマッチがどうなるかと言えば察しは付くでしょう…… まったくマッチしないというわけではなかったです。自分で部屋を作って気長に待つといいと思います。30分~1時間くらい待てば誰かが来てくれるハズ。「マッチしないなぁ~」って人同士でマッチするので、いったんマッチすると長く遊んじゃう。全キャラ一通り使い終わるまで対戦付き合ってもらいました(笑)。
❌格ゲーと微妙にズレたストーリーモード
ゲームシステムは一対一のオーソドックスな格ゲーなのに、ストーリーモードはなぜか一対多、あるいは二対多のアクションゲーム的な戦闘が多いんですよね。確かにカバーズ戦などは一対多の方が原作通りになるし、仲間が一緒に戦ってくれるのもアニメっぽくて熱い展開です。
しかし、元のシステムが1対1の格ゲーしか想定していないために、なかなかストレスのある戦闘を強いられることになります。一撃で複数の敵を蹴散らすような爽快感のある必殺技が無いのも物足りないですが、一番辛いのはエイミング、ターゲッティングのような操作がない事でした。攻撃対象を指定出来ないので倒したい敵を思うように攻撃できず、他方、後ろの敵からの攻撃も防御しにくくなっています。好きな方向に向く事すら難しいので、基本的にはゴリ押しで[攻撃しまくる]みたいな対処しかないです。戦国無双みたいな最初から多数の敵を相手にすることを前提に作られているゲームと比べると、明らかに物足りない。
ストーリーの都合上仕方なかったのかなーとは思うのですが、だったら最初から戦国無双とか、それこそベヨネッタみたいなアクションゲームでも良かったのではと思いました。おそらく対戦格闘というシステムは最初に決まっていて、あとからストーリーモードを足していったんでしょうね。その割には対戦格闘としても物足りなさがあって、モヤッとしてしまうわけですが……
❌純潔神髄(と鮮血更衣)が対戦で使えない
何故だ?
ゲームのストーリーモードには純潔神髄形態の皐月様と、合わせて鮮血更衣形態の流子も登場します。3Dモデルは存在するし、自分で操作もできるので、操作体系も決まっているのに、なぜか対戦では使えない。
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鮮血更衣、純潔神髄ともにストーリーモード限定。オンラインマッチに限らず、プラクティスを含めたあらゆる対戦モードで使用不可。なんでそんな意地悪するん……
アニメではラストにしか登場しなかった鮮血更衣、そしてこのゲームの醍醐味である皐月様の純潔神髄。これがストーリーモードでしか使えないようになっている(しかもその最終戦のみ)のは本当に謎です。特にポリシーを持って使用不可にしたとは到底思えません。DLCで解放予定だったものが売り上げ立たず頓挫したのか、はたまたPvPで使った時に何か致命的なバグが発生して泣く泣く取りやめたのか。いずれにしろ、ファンが一番使いたいキャラ二人は対戦で使えないようになっているのです。残念でなりません。
一方で、同じモデルのまま戦闘モーションが異なる二刀流の流子と皐月様はちゃんと使えるようになっています。水増しキャラじゃないんよ、こっちが使いたいのは……(笑)
本当に、なぜ……?
❌操作が難しすぎるデジタルフィギュアモード
〈デジタルフィギュアモード〉というのが搭載されていて、3D空間に好きなキャラを一体ないし複数配置してお好きなシーンを再現、みたいなモードなんですが、これがまた尋常じゃなく操作しづらい。カメラの操作が難しくて簡単にフィギュアを見失い、3D空間で迷ってしまうし、スティック操作のくせにアナログ入力じゃないから細かい調整とか全然出来ないし、移動制限もキツめ。
ジオラマを作れますみたく変に凝らずに、1つの3Dモデルをぐりぐり眺められるだけで良かったです。デジタルフィギュアモード内でもうまく操作すればそれは出来るんですが、もっとシンプルでいいんよ……
こんなところで、いじょ!
キルラキルのファンであれば、ゲームではなく、自由に動かせる皐月様、純潔神髄の皐月様、ボイスライブラリー、そしてちょっとしたサイドストーリーを楽しむものとして、1,000~2,000円ぐらいであれば全然満足なファングッズでした。
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でもホントに、遠目にはアニメと変わらないグラフィックですよね。これがフルボイスで喋るんだからファンとしては十分。
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いわゆる“マコ様”も健在(笑)
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それにつけても皐月様は本当にかっこいいなぁ。ほれぼれ。
キルラキル ザ・ゲーム -異布- 公式サイト
https://www.kill-la-kill-game.jp/
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それでも私は『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』をみんなに遊んでほしい|ツナ缶食べたい(伝書鳩P)|note
https://note.com/tunacan/n/n51971e689103
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