【ネタバレ感想】MCU21作品のグランドフィナーレ「アベンジャーズ エンドゲーム」

あらゆる意味でこれ以上の規模の映画はそうそうないであろうということで、現状では間違いなく今世紀最大の映画である「アベンジャーズ エンドゲーム」#MCUマラソンを走りきり、なんとか公開日に鑑賞することができました!

それからはや数日、すっかりと熱も冷めましたので、冷静に感想を書いていきたいと思います。素晴らしい作品が見られたことは間違いないのですが、なにしろ期待値が尋常ではなかったために残念だなと思う点も多くありました。上映時間が長かったせいか、鑑賞中ふと冷静に「あれ、これはひょっとすると微妙だぞ」と感じたのは我ながら驚きでした。うーん……、面白いことは面白いんですけどね。映画としては…… うーん。

まあ、いろいろ思うところはあった分、個人的には逆に次のスパイダーマン ファー・フロム・ホームが楽しみになったのでそれはそれで良い事かもとか思ったりしています。途方もない数のキャラを無理に登場させなければいけないわけでも、既に起きていて劇中には出てこない何かを終わらせる必要もないので、映画として大きな足かせもなく面白いのではないかと期待できるようになりました。

というわけで、ネタバレです!🤐
見てない人はダメー!!

ホークアイ クーナッツ

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一見いちげんさんお断り

何しろこの「エンドゲーム」は、前作「インフィニティ・ウォー」でサノスに完敗したヒーローたちのその後を描くニコイチの言わば【後編】であり、なおかつMCUに置いて複数のヒーローが共闘する「アベンジャーズ」シリーズの四作目にあたります。それだけではなく、2008年から続くMCU21作品のグランドフィナーレを飾る作品でもあります。

それらのストーリーや伏線を畳むのに大忙しで、これまでに何が起きたのかとか、登場人物の説明なんてものは劇中に一切ありません。これまでのMCU作品はどれも予備知識無く単体で見てもそれなりに楽しめる作りだったので、ここまで徹底したファンサービスのみ/一見さんお断り体制には少し驚きました。スターウォーズやロード・オブ・ザ・リングのような三部作、トランスフォーマーやハリーポッターといった長く続くシリーズ映画も珍しくなくなりましたが、いずれもある程度単品として見ることが想定されています。そんな中で異例とも言える“ファンのみが楽しめる作り”になっています。これだけの規模のブロックバスターでは考えられないことですが、「もはやMCUを知らない客などいない!」という、10年間に渡って21作品を生み出してきたマーベルの自身すらうかがえます。

というわけで、これまでは「好きなのから見ればダイジョウブ♪」なのがMCU作品の素晴らしい点でしたが、エンドゲームだけは「他の作品をできるだけ見てから」という但し書きが必要です。

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🦸キャプテンマーベルの扱いが微妙

直近のMCU作品であり、満を持して登場したMCU最強のヒーロー、そして「インフィニティ・ウォー」においてニック・フューリーが助けを求めた相手こそが「キャプテン・マーベル」だったわけです。こちらとしてはいやおうでも彼女の活躍に期待してしまうわけですが、なんかこう、肩透かしでしたね……

アイアンマン救助(そもそもどうやって見つけたんだろう?)と引退サノス戦ではただの道案内と化してるし、クライマックスの大乱戦においても、サノスの母艦サンクチュアリをたった一人で沈めるという強さながら「居なくてもなんとかなったのでは?」という疑問を拭う事ができません。決着を付けたのはアイアンマン決死の指パッチンであり、キャプテンマーベルは戦況を覆すほどの活躍はしてない気がするんですよね。ガントレットリレーの援護も、最後にサノスに取られちゃって微妙に意味無かったし…… サンクチュアリからの攻撃を無力化したのは間違いなく彼女ですが、それについては名もないソーサラーの人たちが結構頑張って防いでたしなぁ。うーん。あくまで結果論なのでズルいのは承知ですが、どうも前作におけるソーの “Bring me Thanos!” のようなカタルシスはありませんでした。

逆に強すぎて持て余してる様子もあって、あの戦況であればアイアンマンが指パッチンするまでもなく、もう少し時間があればキャプテンマーベルの力でなんとかなった気もしちゃうんですよね。そうするといよいよアイアンマンが犬死になってしまうのでアレだし…… どちらにせよなんとも勿体無い感じのするキャプテンマーベルでした。

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🤓ハルク不完全燃焼

キャプテンマーベルと同様に、ハルクの扱いも微妙でした。こちらはキャプテンマーベルと違って前編通して登場するものの、科学者としては失敗するだけ。これまでのハルクのような圧倒的な大暴れもなし。見せ場としてはサノスの指パッチンをアンドゥしたのこそ彼だったわけですが、こちとら前作からハルクのお預けをくっていたわけです。なぜ彼がハルクになれなくなってしまったのかという謎の回収と、満を持しての変身そして大暴れを期待していたので、ハルクでもブルース・バナーでもないプロフェッサーハルクはなんだか残念なキャラクターになっていました。サノスに完敗を喫したボクシングのリベンジマッチも無し。本人はパワーと頭脳のいいとこ取りみたいなことを言ってましたが、少なくとも劇中では“器用貧乏”止まり。

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タイムトラベルものとしては普通だった🤔

メインのプロットがタイムトラベルになるであろうことはずっと噂されてたし、サノスの指パッチンが成功してしまった以上それしか無いわけですが、タイムトラベル大作戦は特筆すべきこともない凡庸ぼんような話でした。アントマンで判明した量子世界がカギになると言われていたので、ただの時間旅行ではないかもなんて期待していましたが、驚くほど普通のタイムトラベルだったし…… 映画でタイムトラベルが魅力的なのは「未来を変えないようにしなきゃ!」といった制限があって、それが主人公たちに影響してしまうからこそであり、リアリティを重視したエンドゲームの枝分かれ方式の時間の概念では今ひとつ盛り上がりに欠けます。過去で何をしても薄くなって消えたりしませんし……(笑)

実は裏では未来から来た主人公たちがこんなに頑張っていましたという、「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」と全く同じことをしたわけですが、それについてはもうバック・トゥ・ザ・フューチャー2が完璧すぎてかなうわけもなく、劇中でわざわざ挙げていた他の優れたタイムトラベル作品が空虚に響いていました😅

一方ファンサービスという点ではこれ以上なく楽しめました。キャプテン・アメリカのエレベーターシーン再現、ヒドラ万歳といったコミックにも通じるサービス、アイアンマン3並にPTSDになってしまったソーのお母さんによる復活劇、スターク家の父子エピソードなど時間旅行を存分に活かしてファンに尽くしていたと思います。

違和感があったのはソウルストーンを取りに行ったブダペストコンビで、【愛するものを失う】ってその程度でいいの? みたいな違和感がありました。ホークアイには当然愛する家族がいたわけだし、ナターシャはハルクのことどうしたん……? みたいな。前者については既に失っているし、後者は普通に会えるようになって5年も経ったのですっかり破局したと言えるので、いろいろあった挙げ句やっぱり苦労を共にした二人だから“愛するもの”ということなんでしょうけど、あくまでそれは戦友なのではという違和感は拭えず。そうではなく、再会してから一気に男女的な意味で本当に愛するものになったという可能性もあるけど、それはなんだかソウルストーンが世俗的過ぎてやだな(笑)

まあ、もっとこう家族愛的なアレだと思うんですけど、それにしても二人が我先にと死のうとするのはギャグが過ぎる気がします。【誰か一人死ねばソウルストーンもらえる】みたいになっちゃってんじゃん! 泣かせようとしてるのか笑わせようとしてるのかわからないシーンでした。結果こちらとしてはナターシャの死に何の感傷もなく…… だいたいこの流れはインフィニティ・ウォーで一度見てるし、サノスなりにガモーラを愛していたというあちらのシーンの方がよほど感動的に仕上がってるもんだから、ただ劣化しただけの同じシーンを見せられても……

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🇯🇵日本語が酷い

MCU22作品目にして遂に日本が登場しました。馴染み深いレインボーブリッジや東京タワーと共にクインジェットが映るカットはなかなか感慨深いものがあるのですが、まーそのあとのローニンのシーンがひっどいの(笑)。ブレードランナーのような“ネオンと雨”といったステレオタイプな景色はむしろカッコいいので気にならないのですが、ローニンの日本語が本当に酷い。まったく聞き取れないほどでした。日本語なのかも怪しいレベルです。それなのに相手役の真田さんが熱演してるもんだから余計残念に仕上がっています。「待って待ってヤクザさん、今何喋ったか聞き取れたの!?」

古くはキル・ビルなど、ハリウッドの何言ってるかマジでわからない日本語には慣れてますが、2019年になっても、そしてこれほど莫大なお金がかけられ、一つ一つのシーンが丁寧に作られた作品ですら日本語のセリフはこの程度なのかと苦笑いが止まりません。そもそもホークアイはアメリカ人(?)なわけで、日本語が下手なのは当たり前です。せめて下手でも聞き取れる程度の日本語を話してほしかった。“セリフ”なんだから練習すれば話せるはずです。きっと日本語の先生が良くなかったのでしょう😔

というか英語喋ってくれて良いのに。こっちはハリウッド映画のおかげでよく知ってるんですよ。“ヤクザは英語ペラペラ”だってね!!

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なんだか文句ばかり書いてしまいましたが、良い点もたくさんあります。少なくともこの映画は「スターウォーズ/最後のジェダイ」のようなどうしようもない駄作ではありません! MCU作品の最後を飾るに相応しい愛とファンサービスに満ちあふれています。

ネビュラ可愛すぎる🥰

冒頭のスタークとネビュラのやり取りは最高でした。ネビュラがすっかり素直な良い子になちゃって。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2の時点で既に「お姉ちゃんが欲しかったの!!」と最高に萌えるキャラと化してましたが、今作ではより素直になり、言われたことを確実にこなし、気遣いもできる、それこそ90年台のアンドロイドキャラのテンプレみたいな子になってました(笑)

ロキが居なくなってから兄弟(姉妹)愛とかツンデレキャラ枠が心配でしたが、ネビュラがロキの分を埋めて余りある魅力を発揮してくれています。しかも過去のサノスを現在に連れてきてしまう張本人として、本筋にもがっつり絡む優遇っぷりでした。過去の自分を殺すという残酷な、他のタイムトラベル映画との違いを示すためシーンも、彼女の人間味の薄さを利用して特に余計なシンパシーを抱かせずさらっと流していて良かったです。

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怒涛の大乱戦⚔️

中盤までは残されたヒーローの心理的な描写が続くので、どうしても緩慢な印象なのですが、その鬱憤を晴らすかのような全ヒーロー入り乱れての大決戦はとにかくすごかったですね。唐突に登場するレスキュー(笑)、女性ヒーロー大集合、即死モード、アベンジャーズ・アッセンブル!、ソーのムニョムニョ&ストームブリンガー二刀流からのハンマーキャプテンアメリカなど、ファンサービスもてんこ盛りでした。

個人的には過去サノスめちゃくちゃ強いなというのが興味深かったです。前作でも圧倒的だったけど、ほとんどのシーンでは石を使っていたわけで。まだ石もなにもないのに白兵戦においてアベンジャーズ全員と対等に渡り合ってたし、ダブルブレードでキャップの盾を砕いたり、キャプテンマーベルに敵わないと見るやパワーストーンを取り外すといった機転を利かせた攻撃は見ててすごくカッコ良かったです。

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納得の引退劇👋

キャプテンアメリカ、アイアンマンは綺麗に引退してくれたと思います。家族のための小さな幸せと大義とで悩んでいたトニー・スタークが結局は大義のために犠牲になってしまうのも悲しいけどカッコいいし、常に大義のために戦ってきたキャップがふと自分の幸せを考えるのも面白い。二人の居ないMCUは不安ではありますが、中心人物が欠けてしまったMCUがどう変わっていくのか楽しみです。

それよりドラマ展開の方が不安で仕方ありません。ロキはともかく、ワンダ&ビジョン、ファルコン&バッキーなんて絶対微妙じゃん。それにドラマの成功って本当に難しいし…… ディフェンダーズなんかは失敗しても【同じユニバースのちょっと違った話】として足を引っ張ることも無かったわけですが、同じ役者を主役に持ってきたらそうもいかんぜよ…… いくらマーベルとは言え、「ブレイキング・バッド」からの「ベター・コール・ソウル」のような超絶クオリティでねじ伏せる展開は無理だと思うのですよ😖

しかしヒーロー達は良いとして、5年後に消えた人がいきなり戻ってくるって地獄ですよね。世界のあらゆる場所で「キャスト・アウェイ」なわけでしょ…… まあソウルストーンとか意志があるらしいし良きにはからってくれるのかな。石だけにな!!

1件のコメント

  1. ソウルストーンに関しての”愛する者”っていうのは英語圏では兄弟愛、姉妹愛も含めるので、日本語で言う恋人だけとは限らないのでそこは普通の展開なのでは?

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