【PS4】FIREWATCH 日本語字幕版レビュー。面白かった!

FIREWATCH タイトル画面
タイトル画面。ちなみにこの監視塔は主人公の常駐する監視塔ではなく、上司であるデリラの監視塔です。

PlayStation Plus会員なら2/20まで1,386円

PC版がリリースされた時に「森林火災監視員」という独特の雰囲気が気になっていたFIREWATCHがプレイステーション4で日本語字幕版としてリリースされました。

今ならPlayStation Plus会員は特別価格30%オフの1,386円で買えるとのことなので、早速やってみました。

結果、時間も忘れて一気にクリアまで遊んでしまうくらい面白かったです。クリアまでと言っても初回プレイで4時間ほど。3月のファークライ5までゲーム不足だった自分にちょうどよいボリュームの感動でした。

あらすじ

FIREWATCH プロローグ画面
プロローグは主人公が監視塔へ向かいながら、妻との出会いから現在までをテキストで回想します。介護疲れで苦しむ様子はわかり過ぎて息がつまります。

主人公は初老の男性、ヘンリー。最愛の妻が若年性痴呆症に侵されてしまい、介護疲れから人間関係も壊れ始め、耐えられなくなった彼は、新聞で見かけた森林火災監視員の仕事に逃げるように応募します。周りに自然しかない山の中の監視塔で数ヶ月も過ごさなければならない孤独な仕事が、今のヘンリーにはうってつけでした。

FIREWATCH プロローグ 夕日
舞台となる監視所は車を降りてから2日間も歩くまさに大自然の中。こういう孤立した環境の話ってワクワクしますね。

慣れない仕事とは言えヘンリーには体力も人並みにあり、別の監視塔に常駐する上司であり唯一の話し相手であるデリラも気さくな女性。無線による彼女のサポートで順調なスタートを切り、初日にして若者の花火を注意するという大仕事をこなします。

FIREWATCH 監視塔
主人公が常駐する監視塔。木造でかなり高さがあるので、実際に住むことになったらちょっと怖そう。

FIREWATCH 監視塔内部
でも内部は当たり前ですが見晴らしもよく、ストーブもあって快適そうに見えます。ここに3ヶ月近く住まなければなりません。ワクワクします。

軽い達成感と共に帰路につくヘンリーですが、途中で不審な人影に遭遇します。そして監視塔に戻ると、窓ガラスは割れ、部屋は荒らされていたのです。不穏な夜を過ごした翌日、今度は電話線が切断されていることが判明します。警察にも通報することが出来ず、監視塔は大自然の中で陸の孤島と化すのでした……

FIREWATCH スキレット
調理器具はスキレットも完備。外に出ればそこら中キャンピングスポットです。ゆるキャン⛺

ゲームの進め方

プレイヤーは終始、ヘンリーをFPSの視点で操作してゲームを進めていくことになります。ヘンリーの容姿は特に隠されていませんが、ゲーム中で見ることはほとんどなく、プレイヤー=ヘンリーという没入感を演出しています。

Everybody’s gone to the Rapture 幸福な消失」や「フィンチ家の奇妙な屋敷で起きたこと」のような、ウォーキングシミュレーターに属するゲームだと思います。この手のジャンルの特徴として、まったり雰囲気に浸かりながらストーリーを楽しめるという点があるのですが、Firewatchでは雄大な国立公園の中に身をおくことが出来ます。また、前述の2つのゲームでは雰囲気重視のためか走るという動作が制限されていて、歩き回る時にじれったいのですが、Firewatchは広大なフィールドが舞台のためか、普通のFPSのようにスティック押し込み(または□ボタン)で走ることが出来るため、距離がある移動も苦になりません。

Firewatchの最大の特徴は無線による会話で、アドベンチャーゲームのような選択肢になっています。少し操作が独特で、移動中にもバンバン呼び出しがかかるので、この点だけはアクションのないウォーキングシミュレーターだからと言って気を抜けません。サクラ大戦のLIPSのような時限選択肢(応答しない事も選択肢の一つとなる)もあり、これが地図を見てるときやアイテムを調べてる時でも時間経過してしまうので、応答を最優先にする必要があります。基本的にはまったりとハイキングと会話を楽しめるゲームですが、お菓子やドリンクを飲む時にも左手だけはコントローラーから話さないほうが良さそうです。

FIREWATCH デリラの監視所
無線でいつでも話せるデリラですが、監視塔自体はかなり遠方にあります。周りには人っ子一人いない、唯一の仲間であるデリラは話せるけど会えないという絶妙の環境がストーリーを面白くしています。

FIREWATCH マップ
野外を歩いている時はいつでも十字キーの↑で地図とコンパスを見ることが出来ます。マップ画面のようなUIではないので、没入感を崩さないのが良いですね。地図は行き先が随時書き込まれていくので、迷うことはありません。

FIREWATCH ブラ
ブラを見つける主人公。湖畔で下着見つけたらもうスプラッターホラーしかない(笑)

FIREWATCH 若者
花火をしていた若者を注意する主人公。しかし、後にこの若者たちが失踪し、主人公が最後の目撃者となってしまうのです。ちなみに、女の子二人、すっぽんぽんです。

良かったところ

🗺山中の探索も退屈にならず、迷わない絶妙な大きさのマップ
自然公園が舞台なので移動距離が長そう/道がわかりづらそうと思いきや、走れるし、道も地図と合わせてわかりやすくしてくれています。道に迷ってたらストーリーに入り込めませんからね。
🏃ウォーキングシミュレーターだけど走れる!
このジャンルで走れるゲームを初めてプレイしたので快適でした。地図上で遠いなぁと思っても、走ると割とすぐ着いちゃいます。
🔍無駄に手に取れるアイテム
何の意味もなくても「何だろう」と手に取れるのは感情移入に役立つ気がしました。また、アイテムを元に戻す時のちょっと粗野な感じ、主人公の性格がなんとなく伝わってきて良いです。
🎼要所で差し込まれる音楽
基本的に無音(自然の音を楽しむ)のゲームなのですが、たまに挿入される音楽のタイミングが絶妙でした。
⏳繰り返し遊びたくなるボリューム
個人的にゲームは長くても数時間で終わる方が好きなので、ちょうどよかったです。これくらいの長さなら選択肢を変えて繰り返し遊んでみたくなります。
📷使い捨てカメラ!
プレイ中に写真を取れるんですが、舞台が1989年ということもあってか、使い捨てのフィルムカメラなんです。使い捨てカメラの安っぽいシャッター音、フィルムを巻く音、最高。ピントから絞りから天候まで何でもいじれるフォトモードが流行りですが、たまにはこういうアナログなフォトモードもいいですね。もちろんフィルムだから20枚ちょっとしか取れません。フィルムは大事に!
🎧オーディオコメンタリー
おまけとしてメイキング映像が見られるゲームは多いですが、このゲームではコメンタリがゲーム内に自然に溶け込んだ状態でプレイできます。具体的には有効にするとゲーム内に美術館のオーディオガイドのようなスタンドがいくつも配置され、それを再生するとコメンタリが聞けるのです。ゲームを遊びながらコメンタリを聞けるのは面白いなぁと思いました。

❌イマイチなところ

地図やアイテムを調べていても流れる無線
何か他のことをしている時にもデリラからの無線が入るのはリアルでいいんですが、手が空いてないと応答できないので、地図を見ている間に応答時間を過ぎてしまうということがありました。せめて時限イベントは動作が終わるまで止めてほしいなぁという気もします。慣れると全然だいじょうぶなんですけどね。
ディフォルトが日本語字幕表示オフ
バージョン1.08現在、普通に始めると完全に洋ゲー、字幕なしで始まってしまいます。まずは設定で字幕表示をオンにすることをおすすめします。
オーディオコメンタリーが英語のみ
これは何とかしてほしかったですね。コメンタリーは日本語字幕非対応(英語字幕も不可)で、英語の音声が流れるだけでした。
【2018/02/18 追記】翻訳だけでも公開してくれそうです!末尾に追記しましたのでご覧下さい!

FIREWATCH 封鎖された洞窟
初期の段階で見つかる封鎖された洞窟。こんなん後で入ることになるに決まってるじゃんね!先に見せておくというゲーム的な演出もバッチリです。

FIREWATCH 不審な人影
帰り道に人影を目撃します。向こうから照らされていて顔は全く見えず。怪しすぎる。

FIREWATCH 荒らされた部屋
部屋に戻ると、すっかり荒らされた監視所。初日から話は盛り上がりまくりです。ワクワク。

FIREWATCH 日数
一定のストーリーを進めるごとに「○日目」として日数が進んでいきます。大変わかりやすくて良いです。

FIREWATCH 切断された電話線
電話線が切断され、連絡手段が立たれてしまいます。誰がこんなことを……

ネタバレ感想

というわけでネタバレです。

このゲームは冒頭、サウンドノベルのような文章で始まります。幸せな妻との出会いから、相棒だった愛犬との別れ、そして妻の若年性痴呆症の発覚と、主人公の生活が壊れていく様が淡々と書かれるので、のっけから辛い気持ちでいっぱいになります……

せっかくワクワクしながら始めたのにと面食らいますが、プロローグが終わって主人公が動かせるようになると、一気にぐいぐいと物語に引き込まれます。なんたって要素ひとつひとつがミステリ好きの琴線に触れる触れる。

  • 映画「シャイニング」のような、人里離れた環境での住み込みの仕事
  • 山道で遭遇する怪しい人影
  • 2日目にして何者かに荒らされる監視塔
  • 封鎖された洞窟の奥
  • 電話線を切られ外部との連絡が取れず陸の孤島と化す監視塔
  • 失踪した若者を最後に目撃したのは自分
  • ベテラン監視員も知らない謎のフェンス
  • 次々と見つかる、自分たちを監視するモノの気配

もうワクワクが止まらない状態で先の展開が気になってしょうがないので、どんどん進めることが出来ます。しかしながら、オチまで含めると実は陰謀とかそんな話ではなく、子の死に対応できなかった親の行動がヘンリーたちを悩ませていただけだったりします。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」を地で行く話でしたが、がっかりするといったことはありませんでした。もともとミステリーに主題が置かれたゲームではなく、冒頭の主人公と妻の話からわかるようにヒューマンドラマがメインになっています。むしろこの流れでSF的なオチや政府の陰謀につながってしまうとこっちがびっくりするので、全体的に無理がない、とても納得できる結末でした。

夫婦や男女、親子の関係とか、自分の考え方を問われているような選択肢が多いので、そういうものに対する認識を改めて考えさせられるお話でしたね。主人公たちは初老ですし、扱うのも介護疲れとか親子の関係とかなので、大人向けという感じもしました。少なくとも「かまいたちの夜」を必死になって周回していた子供の頃にこのゲームをプレイしてもちっとも面白くなかったでしょう😅
ところが大人になっても相も変わらずゲームを遊びつつ、精神的には少しだけ年を取った自分にとって、こういったゲームに触れられるのはとても幸せだなぁと思いました。

FIREWATCH オーディオコメンタリー
オーディオコメンタリーを有効にすると、こんな感じでゲーム内に資料やコメンタリを聞けるテープが置かれます。雰囲気を崩さずコメンタリを楽しむことが出来ます。

2018/02/18追記

日本語訳の無かったオーディオツアーですが、残念ながらゲームの設計上、ローカライズを追加することは難しいそうです。翻訳者である福嶋美絵子さん、そしてパブリッシャーであるパニック・ジャパン(株)さんがご回答下さいました。

それならばと、ゲーム外での翻訳の公開などPanicさんに、ゲーム外での翻訳テキストの公開などできないかとお願いしてみたところ、あっさりやってくれそうな感じに! 言ってみるもんですね。ありがとうパニックさん!

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