【キーボード自由研究】実験してみよう! スイッチの重さ⚖️
This post has English version. But please be patient with my poor English… -> Keyboard Summer Science Project: Let’s experiment switches weight⚖️
夏ですね! 夏といえば夏休み! 夏休みといえば自由研究ですyo!!
僕は本当に自由研究、もとい宿題全般が大嫌いだったので、8月31日に泣いている思い出しかないです! 何かを観察する楽しみなんて大人になるまでわからんかってん。
というわけで、今日は大好きなキーボードを使ってちょっと自由研究っぽいことをしてみます。生暖かい目でご笑覧ください。
メカニカルキーボードの軸は、いろいろな種類があります。リニアは、まっすぐ下がります。タクタイルは、バンプがあります。クリッキーは、音がします。僕はクリッキーが好きです。
それから、重さが違います。重さは、押した時の反発の強さです。Gateronの緑軸はすごく重いです。赤軸やクリア軸は軽いです。重さは数値で表現します。赤軸なら45g、青軸は55g、緑軸は80gです。単位は重力グラムといって、gfと書きます。指で押すと違いがわかります。僕は、本当にこの重さなのか、疑問に思いました。実際に調べてみたいと思いました。
- 分銅セット
- 分銅というのは、いろいろな重さの金属の塊です。上皿天秤を使って物の重さを量る時に使います。僕の通っていた小学校の理科室にもありました。アマゾンで2,000円くらいでした。
- 天秤キーキャップ
- 分銅を乗せることができるキーキャップです。上がお皿になっていて、分銅を乗せやすくなっています。3Dプリントで作りました。
- 精密量り
- 500gまで、0.01g単位で重さを量れます。分銅の重さはわかるけど、キーキャップの分の重さがわからないので、それを量るために使います。アマゾンで、1,000円で買えました。
- スイッチ
- 重さを調べるスイッチです。Gateronの一般的な赤軸、黒軸、青軸、茶軸、緑軸、黄軸、クリア軸を用意しました。
キースイッチに、天秤キーキャップを付けます。その上に分銅を少しずつ乗せていって、軸が下がった重さを記録します。下がり始めた時の分銅の重さと、一番下まで押した時の分銅の重さをそれぞれ記録しました。
あと、天秤キーキャップの重さはばらつきがあって、1.66~1.70gでした。きりがいいので、1.7gのやつを使います。MJF方式のPA12という素材でプリントしたものなので、とても軽いです。
また、天秤キーキャップの差込口には1mmごとに目盛りを作りました。最初のでっぱりがスイッチに入って見えなくなると、だいたい1.5mmぐらい沈んだことになります。実験で使うメカニカルスイッチは4mmのストロークがあるので、目盛り3つと半分くらいまで沈みます。
それぞれの軸でスイッチを1.5mm、2.5mm、底まで押し下げるのに必要な分銅の重さは、下記の通りになりました。表には天秤キーキャップの重さは含めていません。
1.5mm | 2.5mm | 底まで | |
---|---|---|---|
赤軸 | 33g | 42g | 49g |
黒軸 | 47g | 58g | 74g |
クリア軸 | 25g | 33g | 38g |
青軸※1 | 49g | 50g | 56g |
黄軸 | 42g | 53g | 65g |
緑軸※1 | 55g | 69g | 78g |
茶軸※2 | バンプを通過するのに 48g | 49g |
- ※1
- 青軸と緑軸はクリッキースイッチで、クリック部分を通過して押し下げるためには2.5mmの位置まで下げるより重みが必要でした。青軸は55g、緑軸では70gでした。
- ※2
- 茶軸はタクタイルスイッチで、バンプを通過すると一気に下がってしまうので、最初の目盛りの位置では止まりませんでした。バンプを通過すると、2つ目の目盛りの位置ぐらいまで下がります。
MassdropにGateronの各スイッチを底まで押し下げるための重さが載っていました。これを実験結果と比較すると下記になります。
Peak force | 実験結果 | |
---|---|---|
赤軸 | 45g | 49g |
黒軸 | 50g | 74g |
クリア軸 | 35g | 38g |
青軸 | 55g | 56g |
黄軸 | 50g | 65g |
緑軸 | 80g | 78g |
茶軸 | 45g | 49g |
黒軸がデータと実験結果で大きく異なりますが、それ以外はかなり実験結果に近くなりました。相対的な軽さ/重さの関係もデータ通りです。しかも、わかりにくいと言われている黒軸と黄軸の関係も、黄軸の方がほんの少し軽いという評判が証明されました。思っていたより実験がうまく言って、ぼくはうれしいです。
難しかったのは、スイッチの軸が少しでも斜めになると、すぐに引っかかって止まってしまうことです。分銅を置く位置によって簡単に止まったり下がったりするので、ちゃんとした重さが量れませんでした。分銅を使うより、お金を重ねていって、その重さを量ったほうが良かったと思いました。
というわけで、キーボード自由研究、いかがだったでしょうか。分銅セット、精密はかりはこのために購入し、天秤キーキャップもわざわざ作りました。内容のくだらなさのわりに意外とお金と手間がかかったので褒めて下さい(笑)。まさか大人になってから分銅を買うことになるとは。今になって考えると、学校の理科室とかって便利な道具が揃ってたんですねぇ。大人になるまで、ってか今でも基本的に勉強は大嫌いですが、それでも、少なくとも「分銅という道具がある」という知識がこうして役に立ったわけです。勉強は大事。はぁ。
しかし、思いの外うまくいってびっくりです。
「緑軸80gって80g乗せたら下がるってこと? またまたぁ。1円玉80枚やでぇ、そんなに耐えるわけ無いやろwww」
と少々馬鹿にしつつ、じゃあ実際に分銅置いてみるか! と、天秤型になったキーキャップをこしらえて、半信半疑でやってみたわけですが、ここまで正確な値になるとは。黒軸が50gに対して実験結果が重すぎるんですが、Input Clubのデータによると黒軸は78gfなんです。そうすると実験結果とも一致します。なので、こんなアナログで安っぽい実験でも、かなり真に迫った値になることにびっくりです。クリッキースイッチである青軸、緑軸についても、クリックを部分を通過するための重さはInput Clubの測定データに近いです。緑軸は測定データ79gに対して実験では70gだったのでちょっと足りないですが…… 茶軸も、バンプを通過するために必要だった48gは、Input Clubのデータと一致します。
まあ、もともと製造メーカーではそのように作っていて、ただ当たり前のことを自分が疑問だからと実験観察しただけ。本当に自由研究に過ぎないわけですが、小学生の頃を思い出しながら分銅の重さを調整するのは楽しかったし、予想通りの結果が出てけっこう快感です。この面白さが小学校の時にわかってりゃ勉強も捗ったでしょうに(笑)
これだけの分銅を乗せないと底まで押せない緑軸。見た目からは想像できない重さに耐えます。もともとCherryが一番重い軸に緑を採用したのだと思いますが、ハルクのこと考えて緑にしたのかなぁ。
一方、一番ひ弱なクリア軸。たくさんの分銅を支えているように見えますが、緑軸の半分の重さでダウンしてしまいます。病弱キャラですが、その分他人にも優しいんですよ、クリアちゃんは。
アナログで拙いこの方法では、本当に大まかな値しかわからないので、よくあるスイッチのグラフのように、押し下げる時の感覚を視覚的に掴むことはできません。それでも、大雑把に重い/軽いぐらいはこの方法で調べることができます。ま、そんくらい指で押せばわかるけどね!! もしすごく暇であれば是非やってみて下さい。緑軸くん、力持ちやんな…… ってなりますよ。
ちなみに、今回挙げたGeteronの軸はすべて「軸のブレない時雨ちゃん」に付属の時雨ちゃんメカニカルキーチェーンで採用しています。ちょうど先日からBOOTHで買えるようになっているので、興味がある方はぜひ!! どの軸が当たるかはわかりませんが、ガチャ感覚でお楽しみください!🎊
本誌もたまもちこさんのイラスト、漫画満載で、初心者にいちばんやさしいキーボード同人誌と自負しております!