【完全自作キーボードへの道13】飛行甲板キーボード
KiCadを使ったキーボード用PCBの作り方がだいたいわかったし、それを注文して作ってもらう方法もわかったので、いわゆる習作ではない、理想のキーボードの基板を作ってみましたのでご紹介します。ちゃんと実用できるキーボードをゼロからここまで作ったのは初めてなのですが、出来上がってみるとレイアウトとか作りやすさとか、色々な気づきもあってとても勉強になりました。
基板の発注はもう慣れました! しかし今回の基板はかなり巨大。横にめっちゃ長いのです。ちょうどよい箱が無かったのか、ダンボール箱2つを合体させた箱で届きました。
こちらが名付けて「飛行甲板キーボード Flightdeck Keyboard」のPCBなのです。あまりに細長く、裏面に空母の飛行甲板のシルクを入れたら実にしっくり来たので、こんな名前になりました。
ちなみに、飛行甲板は大日本帝国海軍の航空母艦「加賀」です。艦これの加賀さんです。イラレで描いてKiCadで利用できる画像に変換しました。パッと見はなかなか雰囲気出てて満足なのです。
レイアウトはこんな感じになります。MiniVanスタイルの40%配列を左右に分割し、中央にファンクションキー、テンキーを配置しました。長らく40%を愛用しているので、普段は困らないんですが、blenderを使ってる時だけテンキーが欲しくなるのです。
さらにどうせならとファンクションキーも追加してしまいました。MiniVanでもレイヤーを使って入力できるようにはしてあるのですが、単一キーで存在すればショートカットの操作が圧倒的に楽になるのではと。
これだけ幅があると左右分割にするまでもなく、十分に腕を広げて使うことが出来ます。間に物を置いたりはできませんが、本体は一つで済むのでスッキリします。
組み立てで難しいことは無いのですが、なにしろキーが多いので大変でした。同じ数だけダイオードもあります。せっかくなのでスイッチはキーの場所に合わせて変荷重にしてみました。
念の為Pro Microは簡単に取り外しできるようソケット式にしました。
はんだ付け終わり。青軸メインで、小指には軽いクリア軸を配置。テンキーはスコスコ茶軸で、あまり使わないファンクションキーは気持ちの良いクリッキーの緑軸にしました。横幅としては100%のフルキーボード並で、そのくせ4行しかないので、ものすごく細長いです。まさに飛行甲板。
キーキャップはとりあえず余っていたMiToのCanvas XDAを付けてみました。特殊なサイズのキーが多いので、全然足りない…… この状態で8月のTokyoMK5で展示したので、ひょっとしたらご覧になって下さった方もいるかもしれません。
あとはPro Microに書き込むソフトウェアが必要なんですが、QMKはさっぱりわからないので、自分で書いたArduinoのプログラムを使いました。前にキーボードとして動くプログラムを書いたので、キーを増やすだけの修正はお茶の子さいさい……とは行かないものの、なんとかなりました。
ケースはありませんが、Pro Microの部分が足になってちょうどよい傾きです。この状態でキーボードとして使えなくはないので、しばらく使ってみたんですが、机上で考えたレイアウトとそれを実際に使ってみるのではやはり違いがありました。
作ってみてわかったこと
⌨️使用感
Windowsキーを追いやり過ぎた
CtrlキーととAltキーの間にあるとAltキーと間違えて押しがちだし、Ctrl/Altキーはもっと存在感が欲しいと思ったので、Windowsキーは右端に追いやりました。流石に邪険に扱い過ぎたなと思います。Windowsキーは他のキーと組み合わせて押すことが多いと思いますが、そのキーがほとんど左側にあることもあり、Windowsキーも左側に残しておくべきでした。
左にもYが欲しい
blenderを使っている時だけなんですが、Y軸移動のショートカットは右手でマウスを操作しながら使うので、左手でyキーY押す必要があります。普通のキーボードだと左手人差し指をちょっと伸ばせば届くんですが、この飛行甲板キーボードは左右が離れているので、左手では届かなくなってしまいました。
NumLockが欲しい
テンキーを搭載したはいいものの、NumLockキーがないので、テンキー入力モードになっていない時に切り替える方法が無く…… テンキーを配置するならNumLockはセットで必要だなーと思いました。
テンキーの/
が欲しい
blenderで使うためにテンキーを配置したのに、肝心の/
キー(グローバル/ローカルビューの切り替え)を入れるのを忘れてしまいました。
🛠️製造面での問題
大きいとお金がかかる
単純に大きいので、PCB自体もそうですし、アクリルプレートでサンドイッチ式のケースを作るのもお金がかかります。個人的にケースは3Dプリントで作りたかったのですが、このサイズの出力費はちょっと考えたくないレベル… 物理的に大きいのはやはりそれなりにお金かかるんだなぁとしみじみ思いました。
1uより大きいキーを数揃えるのは大変
キー配置はkeyboard-layout-editor.comで好き放題考えたので、置きたい位置を決めてからキーのサイズを変えて隙間を埋めていくようなイメージで、キーの大きさは一切期にしませんでした。結果2uが5個必要だったり、1.75uが2個必要だったりと、ディフォルトの配列では賄えない数のキーキャップが必要になってしまいました。2uのキーにはスタビライザーも付けたくなるので、それらを必要分揃えるのも大変です。シンプルに全部1uにしてしまう方が楽かなぁと思いました。理想の配列が製造面の都合で制限されてしまう気がするので良し悪しではありますが。
というわけで、次に飛行甲板キーボードを作るときは上記をもう少し考慮したデザインにしたいなぁと思いました。ただ大きさによる価格の問題があるので、この規模のキーボードを作るのはなかなか難しそう。左右分割せずに肩を広げて使えるのはすごく良かったので、いつかまたリベンジしたいと思いつつ、まずはコンパクトなINSS40スタイルのキーボードを作ろうかなぁと思いました。
⌨️この形で #PCB も #3Dprinting ケースも注文済み!ただただミスがなく想定通りに組めることを祈るばかり😣 親指だけY軸に加えてX軸📈にも押せるので、名前は #Thumbxy くん!#blender #KiCad #自作キーボード pic.twitter.com/QdW54SRfNQ
— Romly@C95 日曜日 東ナ-17a (@Romly) 2018年12月8日