【PS4】「ファークライ ニュードーン」レビュー。良いところとイマイチなところ。
ファークライシリーズの最新作である『ファークライ ニュードーン FARCRY NEW DAWN』。なんと前作『ファークライ5』から一年経たずに続編が遊べるという嬉しい悲鳴となりました。と言ってもナンバリングタイトルではなく、5の後日譚《ごじつたん》、直接の続編という体《てい》でお値段もフルプライスよりはお安くなっております。
金欠だし見送ろうと思ってたんですが、 “柴犬とサイドカー” “ポストアポカリプス” “極彩色”など興味を引くワードが盛りだくさんで耐え切れずに購入、一気にクリアしてしまいました。というわけで前作同様、良いところとイマイチなところを挙げてみたいと思います。
ちなみに前作ファークライ5のレビューはこちら!
【PS4】「ファークライ5」レビュー。良いところとイマイチなところ。 – Romly
http://romly.com/archives/2018/04/ps4_farcry5.html
⭕良いところ
💯柴犬🐕
前作の17年後ということで、残念ながら 『ブーマー』は寿命を迎えたようです。その代わりに柴犬の 『ティンバー』が加わりました。車を運転すれば助手席にちょこんと座り、可愛い顔でこっちを見たり、窓から顔を出して風を感じていたり、細かい仕草が可愛すぎます。アメリカの片田舎を柴犬とドライブできる。これだけで元が取れるってもんです。おまけに車種にサイドカーが追加されたので、サイドカーに柴犬を乗せてドライブなんてことも出来ます。最高!
💯クラフト要素復活🛠
『ファークライ5』ですっかりオミットされてしまったクラフト要素が復活しました! PERK《パーク》も健在ですが、武器は素材を集めてクラフトする必要があります。いつもは動物の皮が素材になりますが、今回は動物の皮は素材を得るための通貨的な扱いとなり、素材そのものはチタンや銅、炭素繊維や回路基板といった現代劇風のアイテムになっています。自分で欲しい武器を選び、素材があるエリアを調べ、旅して集めるというのはオープンワールド系ゲームの醍醐味だと思うので、復活して良かったです。
アメリカ映画好きにはお馴染みの“ダクトテープ” 『ダイ・ハード (1988)』を見て 「外人さんはダクトテープでなんでも切り抜けるんだ」と憧れたものですが、物心付いてから“当のアメリカ人自身もダクトテープ万能過ぎると思っている”のには衝撃を受けました。最近『スカイスクレイパー (2018)』というロック様の現代風ダイ・ハードな映画を見ましたが、オマージュも込めてやっぱりダクトテープをイジってましたね。
その他、エタノールを集めることで拠点である 『プロスペリティ』にある設備をアップグレードすることができます。作業台をアップグレードすれば強力な武器が作れるようになり、診療所をアップグレードすれば最大体力の増加、訓練所ならコンパニオンの強化といった具合です。これは完全に『ファークライ プライマル』の村のアップグレードと同じ。プライマルをプレイ済みであれば懐かしさを覚えながらすんなりと理解できますし、逆に『ファークライ5』しか遊んでいない方は新鮮な感覚で遊べると思います。クラフト要素の復活、拠点のアップグレードと、今作はファークライ5のホープ郡をファークライ プライマルのシステムで遊べるゲームなんだなぁと思いました。ファークライ5のクラフト廃止/PERK全振りは個人的にイマイチだったので、システムとしてはこちらの方が好みです。
『ファークライ プライマル』の村のように拠点をアップグレードするスタイルに変わりました。例えば作業台ではアップグレードごとにレベルの高い武器がクラフトできるようになります。施設の外観も変わるんですが、内装が少し豪華になる程度。もう少し建物が増えるとかそういった目に見える変化があるとなお良かったです。
💯極彩色のポストアポカリプス🎨
『フォールアウト』シリーズ、『ラスト・オブ・アス』シリーズ、『ホライゾン ゼロ・ドーン』、そして近く発売される『Days Gone』。ゲームとポストアポカリプスの相性は抜群で、ファークライも遂にその仲間入りを果たしました。しかし、ありきたりなポストアポカリプスにはならないのがファークライのすごいところ。スーパーブルームと呼ばれる現象によってピンクや紫、黄色といった花が咲き乱れ、核戦争後とは思えない緑と命に満ち満ちた世界になっています。
ポストアポカリプスはフォールアウトのような荒廃した世界も魅力的ですが、逆に人類が衰退して自然が地球を取り戻したかのような世界のラスト・オブ・アスやホライゾン ゼロ・ドーンのような世界も大変魅力的です。映画で言うところの『アイ・アム・レジェンド (2007)』ですね。ニュードーンではそこへスーパーブルームという現象を絡めることでそのどれとも似つかない独特の世界を築いています。実際には前作でファーザー達が人々を洗脳する武器として使った麻薬 『祝福』がスーパーブルームに大きく影響しているというのも心憎い設定です。動物達も核でミュータントに…… はなっておらず、角などが派手な色になっているのが可愛い。童話の世界みたい。
そしてUIもそれに合わせてピンク、それも蛍光寄りの派手なピンクを主体としたデザインにリニューアルされていて、ストーリー、世界観を含めたゲーム全体のルックスに統一感があってとても素敵です。
また、武器やビークルもポストアポカリプスに合わせて前作の小奇麗なものからDIY感溢《あふ》れるデザインに変更されました。自転車のチェーンとハンドルを組み合わせたブレードランチャー、スプレー缶で作ったサイレンサー、水道管と懐中電灯で作ったスナイパースコープ。最高です。ビークルも泥だらけのオンボロクーペになり、ファークライ4の雰囲気に近くなりました。やっぱり小奇麗な自動車よりこういうのを運転する方が楽しい!
敵であるハイウェイマン達がウェイ系ヒップホップ好きなので、彼らの車を奪うとステレオからはRun the Jewels《ラン・ザ・ジュエルズ》のLegend Has Itが流れたりしてます。『ブラックパンサー (2018)』の最初のトレーラーで印象的だったBGMです。ワルいなー(笑)
ちなみにスーパーブルームという現象ですが、本当に砂漠に花が咲き乱れたりするみたい。自然って不思議。
しかしながら、前作の[現実にありそうな平和な片田舎と、その裏に潜む狂気]といったギャップの魅力は無くなってしまいました。一番それを感じるのは音楽。前作では平和なカントリーミュージックが流れていたのに対し、今作ではいかにもポストアポカリプス的な世界観にぴったりの曲になっています。
😭一度旅したオープンワールドに帰るという感覚🏠
これは意外と新鮮で心地よい感覚でした。
オープンワールド系ゲームではマップを使い回すと手抜きと思われるからか(?)、同じ世界って意外と無いような気が。『レッド・デッド・リデンプション2 (2018)』が同じ世界を舞台にしてましたが、それでも前作のマップと重なるのはブラックウォーター周辺くらい、 『ニュー・オースティン地方』は存在こそすれストーリーには殆ど関わらなかったですもんね。
今作は『ファークライ5』とほぼほぼ同じマップが使われているので、終始 「あー、ここ来たことあるー」といった懐かしい気持ちでプレイできます。同じ場所で違う謎解きをするのは懐かしくて楽しかったです。あーここ感電しないよう必死にコンテナの上渡ったなぁとか。
あ、同じマップと言えど核戦争とスーパーブルームのおかげで面影を残しつつ見た目は一変しています。使いまわして手抜きされているといった印象は全く無いので誤解なきよう。むしろ雰囲気を残しつつ核戦争の影響で変わった様を作るのはゼロから作るより大変そう。
同じキャラクターも多数登場するので、あーもー歳取っちゃってまぁと感慨にふけることができます。 『ジェス』はいないんだけどね……
拠点となる
『プロスペリティ』が前作で序盤戦における敵の拠点だった
『シード牧場』にあるというのが面白いですね。逆に前作で序盤の拠点となっていた
『ホープ郡刑務所』はハイウェイマンの手に落ち、強制労働施設となっていてニュードーンで辿り着くのは後半。こういうの大好きー。
どうでもいいけど、なんで『世界の摩訶不思議な家』で出てきそうなおしゃれ建築なんだろう。ハイウェイマンと抗争を続けてる割にはいい大工さんがいるようだ。
👍5で不評だった強制イベント(誘拐)は廃止
『ファークライ5』では各行動によってレジスタンスポイントが貯まり、一定の値に達すると強制的にストーリーイベントが始まってしまうシステムでした。ストーリーを魅せる手法としては優れていたものの、自由に行動できるオープンワールドゲームとの相性はいまいち。やりたい事があったのに強制的に誘拐されてストーリーを進めさせられるのには辟易させられた方も多いのではないでしょうか。
安心してください。ニュードーンでは完全に撤廃されました。ファークライ5での 『ジェイコブ・シード』絡みの演出など、誘拐ならではの巧みな演出も素晴らしかったので、無くなってみると寂しいものですが、オープンワールドということを考えると廃止して正解と言わざるを得ません。
👍ちょうどよいボリューム感
今回のファークライはナンバリングではなく、5の直接の続編であり、スピンオフ的な意味合いが強いです。お値段的にもいつものファークライより控えめ、ゲーム自体のボリュームも5より少なめでした。具体的にはストーリーミッションの数、マップの広さ、拠点の数、ストーリーに絡むキャラクターの数など、いずれも5より少ないです。
これは別に悪いことではなく、ファークライの新作をサクッと遊べるという点で個人的にはむしろ高評価です。雑務に忙殺されゲームをじっくり遊ぶ時間がないワタシにもアナタにも優しいですよ。
ボリュームの少なさから来る唯一の不満は悪役の人物の掘り下げ不足でしょうか。ミッキー&ルーというイカれた姉妹はいかにも癖がありそうな魅力的な悪役と見せかけて、最後まで遊んでみるとファークライとは思えない浅い悪役でした。ファークライの世界ではザコやであんなん! パガン・ミン様の爪の垢でも煎じて飲んでなさい!
👌基地単位での解放リセット
『ファークライ5』ではそれぞれの基地の解放は一度きり、もう一度遊びたかったら全ての基地をリセットするしかありませんでした。今作でははなんと基地ごとに好きなだけ何度でも解放をリセットして遊び直すことができます。さらにその度に報酬アップのおまけ付き。
これまではステルスプレイ → 途中で見つかる → 派手にどんぱちやって不本意な形の基地解放でモヤモヤということが多々あったと思いますが、ニュードーンでは一度クリアしてもまたやり直せるし報酬も貰えるしで気楽に遊べます。
「基地を奪い返された」という設定も地味にリアルさがあっていいですよね。ああいう世界では確かに一度手に入れた拠点を襲われ奪い返されるということも少なくなさそうです。
🦘二段ジャンプは革命
後半、前作の 『祝福』の影響を受けた果実を食べることで超自然的なパワーを得、二段ジャンプのPERKが解放されるんですがこれがもーほんと革命的に便利。かなりの高さ、距離をジャンプできるようになるので高いところにもサクッと飛び移り、自由に行動できる範囲が格段に増えます。このおかげでゴリ押しできちゃう謎解きもチラホラ。そして敵も軽々飛び越えられるようになるので、難易度も格段に変わります。目的地までの徒歩コースで山越えすることも多々あると思いますが、二段ジャンプがあると登る速度が桁違い。
この能力は次回作以降も是非残して欲しい。もう二段ジャンプのないファークライには戻りたくないよー。
😤基地解放時に主人公の外観が見える
地味だけど大事。前作では主人公の外観をカスタマイズしたところでゲーム中に見る機会がほぼゼロだったので意味無かったんですよね。発売後だいぶ経ってフォトモードが導入されましたが、その頃はもう遊んでなかったし。
今回、基地を解放したときのアニメーションで主人公が表示されるので、 「うわ、かっこ悪い……」とか 「もうこの衣装飽きたなー」と外観を変更するモチベーションが自然と湧きます。もちろんフォトモードも最初から搭載されているので、見栄えのいい写真を取るためにもキャラクターのカスタマイズは必須に。
❌イマイチなところ
😢ジェスがいない!!
『ファークライ5』であんな核攻撃がホープ郡を襲った割には、そして主人公が核シェルターを破壊しまくった割には(笑)、前作の主要なキャラクターはわりと生き延びています。狙撃手のグレース、妊娠大爆走ミッションが印象的だったキム・ライとその夫のニック、放火魔シャーキー。そして牧師のジェロームは年老いたものの、コンパニオンキャラクターに昇格しました。もちろん、エンディングで主人公とともにシェルターに逃げ延びたファーザーことジョセフ・シードも生きています。
と・こ・ろ・が! ファークライ5最強コンパニオン、最強ツンデレ、ジェスがいないの!
攻撃を指示するだけで一人拠点解放しちゃうジェス、クーガーをにゃーにゃー愛でるジェス、クマを素直にカッコいいと言ってくれたジェス、どこいっちゃったのジェス? ゲーム内での言及も無いようで、生死も不明です。ステルスで敵を殺しまくる能力はスナイパーおばあちゃんのナナが引き継いでいますし、性格的にはカルミナちゃんも可愛いですが、やはりジェスの少しひねくれた魅力には敵いません。
前作で一番魅力があったキャラクターが抹消されているのは納得いかない! 狙撃手のくせに発砲音うるさくてまるで役に立たなかったグレースとかはっきり言ってどうでもいいんだけど!(ひどい)
ちなみに、今作で魅力のある女性は 『プロスペリティ』で診療所を開いてくれる薬漬けドクターのセレニーちゃん(ほんとはドクターではないみたい)。言動が飛んでて面白く、彼女と旅できたら楽しそうなのに。吹き替え声優さんもすごく上手です。有賀由樹子《あるがゆきこ》さん、なんと『ファークライ4』の女性主人公の声やってる方でした。ははーなるほど~。
😢コンパニオンは1人までに
同時に連れていけるコンパニオンは一人になってしまいました。これは明らかなパワーダウン。孤独な旅になりがちなオープンワールドの世界を3人でワイワイ旅することができる素晴らしいシステムは廃止され、一人しか連れていけなくなりました。コンパニオン同士の会話が最高に楽しかったのに…… 残念。
ちなみに、別のコンパニオンに切り替えた直後に戦闘が始まると両者が助けてくれ、少しだけ前作の雰囲気を懐かしむことができます(解除したコンパニオンも近くにいれば蘇生してくれる)。
NPCのコンパニオン参加はなくなりました。どこの馬の骨とも知れないキャラクターを連れて行ったところで何も面白くなかったので、こちらの廃止は妥当だと思います。
ちなみに、前作ではコンパニオンが所構わずドンパチするせいでちゃんと使えるコンパニオンは人間ではジェスだけ、もうひと枠は動物を連れていた方も多いと思います。ニュードーンではどのコンパニオンもそれなりにステルスしてくれるので割と使えるようになりました。と言っても大きく差があり、ステルスプレイだと柴犬ティンバー、狙撃手のナナ、あとは大穴でジェローム牧師もおすすめ。ステルス状態だとバットを使うので、うまく使えばわりとコソコソ殺ってくれます。
ホレーショーはステルスは出来ないながら、 『ブタの忍耐力』アビリティ(自力でのダウン回復)を覚えるとかなり強力なコンパニオンになります。敵陣で果敢に暴れ回る姿は、大きさこそ一回り小さいものの、『ファークライ4』での象を思い出させます。
といっても、柴犬がアビリティ的にも便利すぎて、柴犬ばっかり連れて回ることになってしまうのはややバランス崩壊感あります。お宝マーキングの能力はPERKの方が良かったんじゃないかなぁ。
🤔ファークライ5ありきのストーリー
5の直接の続編、舞台は同じホープ郡で17年後ということで、ストーリーには自然と前作の出来事が絡んできます。独立した物語として、核戦争後の世界におけるいい人たち悪い人たちの抗争と捉《とら》えることもできなくはありませんが、前作での出来事を経て真に救世主となったファーザーや、キム・ライ達がなぜファーザーをそこまで憎むのかなど、前作の物語を知らないとイマイチ掴めないと思います。ファークライシリーズはそれぞれ独立した物語になっていますが、ニュードーンをしっかり遊びたい場合、先に『ファークライ5』を遊ぶことは必須です。
🤔RPG的なレベル導入はうーん???
ファークライとしては目新しい要素として、武器や敵、ビークルにレベルのようなものが導入されました。と言ってもせいぜい3、4段階のごく簡易的なものです。例えばレベル2の敵にはレベル2以上の武器じゃないとまともなダメージは与えられません。わかりやすく色分けされていて、雰囲気としてはホライゾン ニュードーン…… じゃなかった、『ホライゾン ゼロ・ドーン』に近いかもです。
ただ、これまでのファークライと比べて必要な要素かと言うと…… むしろ無くてもいいかな? といった程度。さらにテイクダウンのPERKが敵のレベルごとに必要になったのは面倒です。これまでも特定の敵についてはテイクダウンのスキルが必要でしたが、個人的にはあれもあまり好きではなかったので。
というわけで、ホープ郡に還ることができる『ファークライ ニュードーン』、前作を遊んだ方は絶対にこちらもプレイしてほしい内容となっております。ジョセフ・シードの物語が完結するし、システム的には前作よりやり甲斐があって快適で面白いのではと。
ファークライ6は当然開発していると思いますが、どこが舞台なんでしょうねー。南海の孤島でもアジアの山奥でもなく、原始時代でもアメリカの田舎でもポストアポカリプスでもない。和は『Ghost of Tsushima』と被るし、うーん優雅にヨーロッパとか?
2020/09/10 追記[Added 2020/09/10]
さる7月に『ファークライ6』が正式発表され、舞台が南海の島国であることが判明しました! ちょうど『トロピコ』シリーズのように、南国の陽気さと独裁者による支配を併せ持つ国のようです。今回の悪役は『ブレイキング・バッド』で有名なジャンカルロ・エスポジート! 『ファークライ3』に登場したバースの故郷であり、トレイラーに登場する子供はバース本人、つまり3の前日譚なのではとも噂されています。発売は2021年の2月、いまから楽しみです!
この記事はここで終わりです。
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