【PC】リメイク「アクトレイザー・ルネサンス」レビュー。良かったところとイマイチなところ
30年ぶりのリメイクが突如発表&即日発売
スーパーファミコンの『アクトレイザー (1990)』と言えば、スーファミ黎明《れいめい》期の名作アクションSLG。アクションSLGと言っても、街づくりSLGの合間合間に純粋な横スクロールアクションをクリアしなければならないという、当時としてはなかなか珍しいスタイルのゲームでした。
自分はがきんちょの時に1、2回遊んだ程度ですが、そのユニークなシステム故かスーファミソフト中でも強烈に印象に残っています。一応最後までクリアした気がする……
古代祐三氏による音楽も素晴らしく、サントラは今でも時々聴いています。
そんなアクトレイザーのリメイクが9月のニンテンドーダイレクトで突如発表。 「やっぱり任天堂さんは良いタイトルを独占しますネェ」なんて思ってたらPSはおろかPC、スマホまで対応したまさかのマルチプラットフォーム。しかもそれが即日発売。3,520円というお手頃価格だったので、思わず購入してしまいました。
アクトレイザー・ルネサンス (Actraiser Renaissance) | SQUARE ENIX
https://www.jp.square-enix.com/actraiser_r/
PC版を遊びました
Nintendo Switchは持ってないし、今更PS4用のソフトを買う気にもならないので、プレイしたのはPC版。もちろん日本語に対応していて、ゲームパッドで快適にプレイできます。コンシューマー版に関してもダウンロード専売のようですね。
グラフィックが売りのゲームではないですが、解像度は4Kにも対応。GeForce GTX 1050でも4K解像度で何ら問題なくプレイできるPCスペックにも優しいゲームとなっております。
とりあえずエンディングまで遊びましたので、スーパーファミコン版との違い、良かった所イマイチな所などをば。
オリジナルとの相違点
立ち絵、グラフィック
オリジナルはスーファミなのでドット絵でしたが、リメイクは今どきな2.5D風グラフィックに刷新されました。アクションパートは原作と同じ2Dアクションですが、アニメとかヌルヌル動くので内部的には3Dっぽいです。
またスーファミでは天使のグラフィックはキューピッドみたいな裸の子2頭身キャラ、民草も無個性な男女が祭壇の前に跪いている画像だけでしたが、今作では天使も民も、それから後述する英雄も、会話パート用にソシャゲのような立ち絵が用意されました。
風光明媚になった各地域
神のアクション
オリジナルのアクションパートではかなり動きの硬い神様でしたが、リメイクの神様は柔軟に動けるようになりました。通常攻撃はコンボになるし、
『バックステップ』なんていうナウなアクションもできます。わずかなクールダウンがありますが、バックステップ中は無敵なのでうまく使えば超強力です。
オリジナルの硬い動きも
“石像に魂が入って神として動いている”設定なので理に適ってたんですが、アクションゲームとしてはこちらの方が遊びやすいのは確か。動かしてて気持ちいいですし。
しゃがんだ状態での斬り上げがなくなったのはちょっと残念。あのモーション好きだったんだけどなぁ……
魔物の巣の封印がアクションに
スーパーファミコン版では、クリエイションパートでの魔物の巣の封印は民草が全自動で行ってくれていましたが、今作では神(プレイヤー)が自ら赴いてアクションパートと同じ様にクリアする必要があります。と言っても数画面ほどの極々狭いステージで細胞のようなものを倒すだけなのですぐ終わります。
面倒くさい気もしますが、これがないとクリエイションパートがかなり長く続いてしまうので、悪くない良い気分転換かなと思います。
タワーディフェンス要素
オリジナルのクリエイションパート(SLGパート)は道を引いた後はひたすら湧き出る魔物を撃つという感じで、悪く言えば退屈だったわけですが、リメイク版では全く新しいタワーディフェンス的ゲーム 『魔群の侵攻』が追加されました。それに伴って町に防御用の砦を建てられるようになり、攻撃ユニットとなる英雄も登場するようになりました。あとオリジナルでは家のほかは 『畑』の他に、砦や柵を建設する素材を作るための 『工場』も建つようになりました。
このタワーディフェンス要素は良し悪しですね。このシステムの追加自体は悪くないと思います。当時のままのクリエイションパートだと暇ですし、アクション+SLG+タワーディフェンスという欲張りコンボは好きです。
ただ、作るならもうちょっと遊びやすく作ってほしかったというのはあります。砦や防御柵を建てられる場所が謎すぎるんですよね…… まあ、その辺の不満は後ほど。
ちなみに、クリエイションパートでの神の奇跡は効果範囲が円形になり、割と柔軟に町を破壊できるようになりました。多くのSPを消費することで一度に広範囲に奇跡を起こすこともできます。
地域ごとの英雄
各地域に一人ずつ 『英雄』と呼ばれるストーリーを牽引するキャラクターが登場するようになりました。彼らはその地域でのストーリーを引っ張るメインキャラになる他、タワーディフェンスで魔物を攻撃するユニットになります。
立ち絵で会話するシーンはソシャゲみたいであんまり好きじゃないですが、オリジナルでやや淡白だったストーリーをより盛り上げる要素としては悪くないと思います。原作のストーリーを再現しつつそこに英雄を絡める話の展開は面白く、先が知りたいというモチベーションになりました。可愛いキャラもいますし。
⭕良かったところ
懐か死リメイク
グラフィックは完全に刷新され、新要素も大幅に追加されていますが、クリエイションモードのマップやミニストーリー、アクションパートのマップや敵・ボスキャラはかなり忠実に(しかし新しいグラフィックで)再現されており、オリジナルをプレイした方であればエンディングを迎えるまで懐かしさの連続なのは間違いないです。
フィルモアのケンタウロスことセントールに始まり、ブラッドプールの赤い湖、魔物の巣から現れる耐久力の高い骸骨頭などなど…… いちいちスーファミ版をプレイしていた当時を思い出してしまいます。少なくとも自分はクリアまでニマニマしっぱなしでした。
生まれ変わったボスたち
原作をベースにした英雄のストーリー
クリエイションパートで繰り広げられる人間の悲喜こもごもはほぼ全部リメイクでも拾われている様でした。ブラッドプールのテディーと生贄の話とか、カサンドラで行き倒れてる人とか、アイトスで魔物の巣を封印するために命を落としてしまう男…… 懐かしさを感じさせつつ、それらが今作で新しく登場した英雄のストーリーとうまく融合してるのも良かったですね。
個人的にはアイトスの話が良かったですねー。英雄のミグラナさんの性格が好みというのもありますが、ミグラナさんと人々の関わり方であったり、オリジナルの話をミグラナさんを絡めつつうまく再現してたり。
っていうか、当時は子供なのでさっぱり読み取れていませんでしたが、人々が懸命に生きる姿はなかなか涙腺にぐっと来るものがあります。
オリジナル音源可
アクトレイザーと言えば古代《こしろ》祐三氏の楽曲も有名ですが、本作では氏本人によるアレンジ楽曲が楽しめるだけでなく、オリジナルの音楽にいつでも切り替えられます。2周目のプレイが捗りそう。
最近のゲームでは見なくなったジュークボックスモードも付いているので、クリア後は各楽曲を存分に堪能できます。ご本人によるアレンジですが、やっぱりスーファミ版をやった自分としてはオリジナル音源の方がいいなーって思っちゃいます。
タワーディフェンスやアルカレオネなどリメイク版独自の楽曲についてはアレンジ版の方が原曲ということになると思うんですが、何故かスーファミ版には存在しないクラシック音源も収録されているという充実っぷりです。
ちょうどよい難易度
とりあえずNORMALでプレイしたんですが、アクション苦手な自分でも程よい難易度でクリアできました。たまーにボス戦で死ぬくらい。むしろクリエイションパートでのタワーディフェンスの方が俄然難しかったです。けっこう死にました。それでも一度敗北して魔物の攻め方がわかれば、それを活かして2回目、せいぜい3回目には勝利できる感じ。
白状するとゲームを通して一箇所だけ、アルカレオネの魔物侵攻の一つ
〈田畑の完全破壊〉が条件の侵攻がどうしてもクリアできなくて難易度をEASYに下げました。分散する田畑がどうしても守りきれず、街を殆ど破壊して田端の位置をまとめたりも試みたんですが全然ダメで……
まあでもアルカレオネはクリア後のオマケみたいなものなので、やはりNORMALでちょうど良い難易度だったなと思います。手応えが欲しい人にはHARDがあるし、クリア後はアクションパートのみですがもっと難しいHEAVENもあって、やりこみ要素も問題なし。
あ、ちなみにクリエイションパートでの天使の矢もわずかにホーミングが効くようになって、命中させるのがとても簡単になりました。
完全新規エリア「アルカレオネ」
今作はリメイクに留まらず、タワーディフェンスとそれに伴う英雄のストーリーなど様々な要素が追加されているのは前述の通りですが、クリア後に追加される完全新規の地域 『アルカレオネ』にも満足。単純に新しい街というだけで嬉しいですし、最大の広さを誇る開拓エリアも気持ちがいい。アクトレイザーの開拓エリアってどれも結構狭いですからね。
❌イマイチなところ
ソシャゲ立ち絵
クリエイションパートでは民が定期的に出来事を報告してくれて、そこでミニストーリーのようなものが展開されていくんですが、その画面がいわゆるソシャゲと言うか、エロゲと言うか、アドベンチャーゲームでよくある “キャラクターの立ち絵とメッセージウィンドウ”になりました。オリジナル版では祭壇の前に跪く男女だったものが、地域ごとにそれっぽい衣装を着た男女の立ち絵に変わっています。
これは新しく追加された英雄との絡みを再現するには都合良かったんでしょうが、アクトレイザーとして見るとイマイチですね…… 原作にあった
“神として民草を見下ろし、ひ弱な彼らを導いている”感がすっかりなくなってしまって、民草が神と同じ目線で話しているかのような印象になってしまいました。
あの手の立ち絵会話スタイルって、プレイヤーが登場人物の目の前で同じ様に話しているからこそ成り立つと思うんです。このゲームではプレイヤーは神なのですから、もっと俯瞰してほしかったですねー。
そしてその立ち絵もちょいちょいクオリティが…… いや、でもわかんないです、小規模な開発が依頼できる絵師さんだと妥当なレベルなのかもしれない。フルプライスのAAAタイトルというわけでなし、そこまで求めるのは酷なのかな。
クオリティは別にしても、民の立ち絵など、具体的なイメージが明確になりすぎてあんまり良くない気はします。食うにも困ってるくせに随分とご立派な装飾を身に着けているのですねみたいなのは興ざめしないと言えば嘘になる。
こうしてみるとオリジナルの、適度にぼかした民草のグラフィック表現(ドット絵で仕方なくそうなったにしろ)はゲームの設定にマッチしてたんだなぁと。
タワーディフェンスの理不尽さ
タワーディフェンス自体はそんなに嫌いじゃないんですが、砦や防御柵を建てられる場所が謎すぎる。
弓砦や魔法砦の攻撃範囲内に防御柵で足止めしてやろうとか、そこにさらに他の弓砦を重ねて多重攻撃してやろうという姑息な作戦は誰しも思いつくと思うんですが、防御柵を建設できる場所がまー謎。道なりに一定間隔で建てられるわけでもなく、真っ直ぐな道に必ず建てられるというわけでもなく。しかも建設できる場所は戦闘中にしかわからないため、タワーディフェンスに失敗してやり直すにしても、戦闘中に柵が配置できた場所を覚えておく必要があります。
しかも、純粋なタワーディフェンスのゲームなら敵のルートは概ね予測できますが、今作では敵が二股の道でどちらを選ぶか判断しづらく、出現位置もマチマチ。意気揚々と防御柵を建てても華麗にスルーされることもしばしばです。
さらに言えば門砦を建てられる場所も同じ用に謎なのと、後半になると殆ど飛行する魔物のみになってしまい、門砦自体があまり有効活用できないのも微妙でした。
タワーディフェンスそのものは悪くないと思うんですが、それならそれでもうちょっとしっかりタワーディフェンスしたかったなと思いました。どーも中途半端で理不尽と言うか……
神の奇跡のUI
神の軌跡、魔群の侵攻の時に使うと魔物への効き具合がわかるんですが、UIが大きすぎて隠れてしまうのだけ気になりました。何度も位置をずらしてUIを呼び出す羽目に。あとは十字キーのゲームパッドだと若干選択しづらいのはありました。
それ以外のUIには全く不満なかったです。
まとめ
以上、ちょいちょい気になるところはあるにしろ致命的なものは無く、値段を鑑《かんが》みれば楽しく遊べるゲームと言ったところでしょうか。なにより当時を思い出して懐か死しまくりで自分としては大満足なのでした。
逆に、オリジナルのアクトレイザーを全く知らずに遊ぶとなるとどうなんでしょうね。メトロイドヴァニア+箱庭SGL+タワーディフェンスというのは今でも十分にユニークなシステムだし、全体的には値段分のボリュームもしっかりあると僕は思いますが……
スクリーンショットを見て特に気にならず、横スクロールアクションにも抵抗がない方なら素直におすすめできるかなと。
ゲーム自体、丁寧に作られてますしね。特にオリジナルにはなかった各ボスの登場時、ボスの姿を魅せつつ攻撃方法と避け方をさり気なく教えているフェアな演出には感動しました。
この記事はここで終わりです。
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