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【アニメ】攻殻機動隊(SAC, ARISE, Ghost in the Shell, etc)の時系列を調べてみた(そして全部観た!)

8作品それぞれの少佐

5月に入ってもコロナウィルスは相変わらず、テレワークによって休日と平日の境界も曖昧となり続け、ゴールデンウィークに気が付かなかった方も多いのではないでしょうか。家から出られない日々、ピザ屋さん、電子会議サービス屋さん、そして配信サービス屋さんが空前の繁盛っぷりと聞きます。かくいう自分もNetflixとDアニメにどっぷり。なかでも攻殻機動隊シリーズは最新作『SAC_2045』の配信でハマってしまい、全シリーズ一気観マラソンを完走してしまいました。

ちゃんと辿っていくと以外に作品が多く、どれから見初めて良いかわからないのがアニメ版攻殻機動隊。自分も映画とアニメをちらほらとしか見たことがなかったので、せっかくだからちゃんとした順番で見ようと調べてから挑みました。結論としては、タイムラインごとに作品の時系列で見るのが良いみたいです。どのタイムラインから見るかは完全にお好みでだいじょぶそう。←個人的には圧倒的にSACからがオススメです。

というわけで、作品ごとの時系列とそれぞれの作品を観た感想をざっくりと。

作品一覧

調べた限りでは、攻殻機動隊のアニメにはTVシリーズ、劇場公開作品など合わせて8つの作品群がありました。そしてそれらはSAC時系列Stand Alone ComplexARISE時系列GITS時系列Ghost in the Shellの3つのタイムラインに分類することが出来ます(時系列の名前は便宜上こちらで勝手につけたものです)
同じタイムラインであればキャラクターの設定やストーリーは続いています。逆に言えば異なる時系列に属する作品では同じ容姿・名前のキャラクターでも生い立ちが違っていたり、性格が違っていたり。
表にすると下記の通り。なんと全てNetflixで見れちゃいます! アリガターイ🙌

SACGITSの関係は比較的わかりやすくて、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』ラストで人形遣いと融合した少佐はネットの広大な海に姿を消してしまうわけですが、もし人形遣いと出会わず少佐が9課を続けていたらというif世界線がSACとのこと。

若干わかりにくいのがARISEで、こちらは少佐が課長を始めとするお馴染みのメンバーと出会い、9課が設立されるまでのストーリーです。そしてARISEの中で最後期のエピソードを描いた『攻殻機動隊 新劇場版』のラストでは、GHOST IN THE SHELLの冒頭シーンへと直接繋がるような描写になっています…… なってはいますが、別に繋がってはいない。
その後に『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』ラストのような描写もあるんですけど、やっぱり繋がってない(笑)。結局のところARISEのその後はGITSでもSACでも無く、2つのシーンは言わば単なるファンサービスに過ぎません。

まあでも、複数タイムラインとは言えその中でそれぞれ繋がってるだけマシかも。X-MENのユニバースなんか酷いんです。ウルヴァリン: X-MEN ZERO (2009)LOGAN/ローガン (2017)、それから『X-MEN』メインシリーズ、みんなヒュー・ジャックマンが全く同じようにウルヴァリンを演じ、昔の話やその後の体をとってるくせに、ひとっつも繋がってないですもんね……☹️

直近の2作品である『SAC_2045』『新劇場版』より前までの作品の雰囲気は、この新劇場版の予告編で確認できます。大きなネタバレもなく、映像のテイストだけおさらいできますよ。

GITS 時系列

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 (1995)

作品内の時期: 2029年2月頃

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊

攻殻機動隊シリーズであることを抜きにしてもめちゃくちゃ有名な映画で、いわゆる“ジャパニメーション”作品として世界レベルでもアキラ (1988)の次ぐらいに有名なんじゃ……? と思ってるのですがどうなんでしょ。原作漫画ノータッチでアニメにもあまり触れてこなかった人にとってはこの作品こそが攻殻機動隊でしょと思っている方も多いハズ。自分もそのクチでしたが、全体を見渡すとむしろこの作品が例外的なテイストであることがわかります。
攻殻機動隊は2017年にハリウッドで実写化もされていますが、そちらは殆どこの作品のリメイクといった体です(末尾のおまけで触れています)。キアヌ・リーブスの映画マトリックス (1999)では、流れる緑の文字や銃撃シーンなど、ド直球で影響を受けてるのは有名です。
STAND ALONE COMPLEXの世界と比べると、タチコマがいない事も含めて、明るい部分をごっそり削ってしまったような作風ですが、香港的サイバーパンクを地で行く世界観は色褪せない魅力があります。このタイムラインでは少佐は人形遣いと融合し、ネットそのものみたいになっちゃいました。

映像、音響を全体的にリファインして新規製作映像なども追加した『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』が2008年にリリースされています。人形遣いを初め、主要メンバー以外の声優さんも変わってしまっているのですが、どこぞのルーカスさんみたいにオリジナルを無かった事にせず、しっかり新旧比較できるよう両方入ったセットが販売されているので安心です。

『イノセンス (2004)

作品内の時期: 2032年

『GHOST IN THE SHELL』直接の続編ですが、少佐はほとんど登場しません。なんとバトーが主人公。トグサとかは普通に出てきます。フィルムノワールと言うか、作風としては完全にハードボイルド映画のそれ。前作はエンタメな部分も辛うじて残っていたと思いますが、イノセンスは相当に人を選ぶ映画になってしまいました。攻殻機動隊として観ると退屈なのは否めませんが、ちょっとカルトな作品としては見どころたっぷりです。
流石にこの続編はもう作られることはないと思うので、GITS時系列はこの2作品で終わり。個人的にも押井機動隊はお腹いっぱいです…… 劇場版第一作をもって攻殻機動隊を世界に知らしめた功績は衆知の処ですが、結局のところ、あの人の作風ってぶっちゃけ原作あんま関係ないですよね(笑)。

イノセンス

STAND ALONE COMPLEX 時系列

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX (2002-2003)

作品内の時期: 2027年~2029年

公安9課として活動する、いわゆる“少佐”を描くシリーズ。PS1初期に流行ったCGオープニングムービーを彷彿とさせるOPが特徴です。ついついソウルキャリバーの一作目や永瀬麗子さんのことを思い出してしまいました。
シリーズの主軸に置かれているのはかの有名な“笑い男事件”ですが、たっぷり26話あるので、公安9課メンバーそれぞれのキャラクターを掘り下げるエピソードや、一話完結スタイルの話などもふんだんに盛り込まれ、それらが無理なく伏線になっていたり、とにかく構成がしっかりしていて満足度が高いです。シーズン後半になると、『ミッション・インポッシブル』『ジェームズ・ボンド』など、チームものの作品では王道の[チーム自体が狙われて崩壊する]展開が待っていて燃えました!

暴走の証明

個人的なお気に入りは、劇場版『機動警察パトレイバー (1989)を彷彿とさせる暴走事件が情緒的な結末を迎える第2話「暴走の証明 TESTATION」。攻殻機動隊にしては珍しく現代的な住宅街が舞台になっていて、避難する住民や警察とのやりとりなど、本当にパトレイバーを見ているのかと一瞬錯覚してしまいます。話の構成も良く出来ていて、謎の暴走からたっぷりとメカアクションを見せてくれた後に切ない暴走理由の判明、怪獣映画を彷彿とさせる住宅街の間から多脚戦車を見せるショット、迫力の主砲発射と薬莢排出、1995年の劇場版へのオマージュ、停止したと見せかけて再起動するお決まりのパターン、そしてなんともやるせない悲しい結末。
これらをわずか20分に詰め込んだ上、少佐のサービスショットを忘れなかったり、タチコマの紹介を兼ねたエピソードであったりととにかく盛り沢山な内容なのに全く破綻がない。素晴らしいエピソードです。この話だけで長編作品にしてほしいぐらい。
他にも、タチコマがたまたま見つけた電脳の中に残る世界が印象的な第12話「タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM」など、笑い男を追う主軸の中に印象的なエピソードがしっかりと点在しています。

タチコマの成長もシリーズ全体を通して丁寧に描かれています。最初の頃はなんだかうるさいし、そのくせポンコツだし、自衛軍のAIのほうがよほど優秀じゃないかって思うんですが、そのユルさによって自ら様々な経験を積んでいき、それが最後に最高の見せ場をもって実を結ぶシーンは本当に泣けます。成長物語かくあるべし。

『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG (2004-2005)

作品内の時期: 2031年~2033年

STAND ALONE COMPLEXからそのまま続く時系列で、こちらもたっぷり26話。新人の教育方針に悩んでみたりとすっかり成熟した9課メンバー。今シリーズを通して追うのはクゼという革命家。少佐の幼少期と深い関係がある人物です。武器に刀を持つのは三島由紀夫のイメージがあるとかないとか。ガチですね(笑)。ジャック・バウアーやキアヌ・リーブスの吹き替えでお馴染み小山こやま力也りきやさんの声からカリスマが満ち溢れていて、敵キャラクターとしては笑い男とは比べ物にならない魅力があります。
劇場型犯罪だった前シリーズと比べ、難民問題、内閣情報庁の暗躍など、全体的に政治的なトーンに寄っていて、個々のエピソードもよりが増した感じがします。クライマックスの軍事クーデター、そしてそれを食い止めるために人知れず頑張る9課など、『機動警察パトレイバー2 (1993)ですねこれは。少佐とクゼの関係も完全に南雲さんと柘植つげのそれだし、バトーは後藤さんの立ち位置。シーズン1第二話でも感じましたが、「あれ、パトレイバー観てたんだっけ?」ってなりました。あそこまで暗いトーンではないですけど。
クライマックスになると往年の怪獣映画を思わせる音楽に変わるのも良かったですね、シーズンエンドに向けて一気に期待が高まります。劇中の自衛軍と政府、テロリスト三つ巴の緊張感が手にとるように伝わってきて鳥肌が立ちました。

飽食の僕 NIGHT CRUISE

そして本筋を追いながらも小粋な短編が散りばめられているという構成は相変わらず巧み。印象に残ったのは偶然にも前シリーズ同様第2話、「飽食の僕 NIGHT CRUISE」というエピソード。本編中にそのまんまオマージュしたシーンがある通り、タクシードライバー (1976)の攻殻機動隊へのアダプテーションです。理想とする妄想と現実との極端な乖離に苦しむ様は今で言うところのジョーカー (2019)。しかし映画のように実を結ぶことはなく、かと言って悲劇的な結末でもなく、残酷なほどに現実的な[そのまま]という幕引き。それでも少佐の一言で彼は救われたハズなので、ある意味グッドエンドなのかもしれませんが、ジョーカーにすらなれない、散ることすら許されないというのは個人的にはバッドエンドな気がしています。
他にも少佐の全身義体化の過去が判明する第11話「草迷宮 Affection」、普段はあまり目立たないパズの女ったらしっぷり、もといハードボイルドさが明らかになる第13話「顔 MAKE UP」、まだ鷹の目を持っていなかった頃のサイトーと少佐の一騎打ちが明かされる14話「左眼に気をつけろ POKER FACE」など、ファンとして見逃せないサブキャラ回も盛りだくさん。

タチコマ

タチコマは相変わらずちょっと抜けていますが、ファーストシーズンに比べると普通に仲間の頼りになっていて、もうそれだけでちょっと泣いちゃう。タチコマのお父さんがわかる15話「機械たちの午後 PAT.」も悲しすぎる。そして最後の最後にまた魅せてくれるタチコマなのでした。あんなことが出来るまで成長して、うっ、うぅ……(涙)

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society (2006)

作品内の時期: 2034年

2シリーズ分52話、たっぷり楽しんだ後は劇場版です。「笑い男」「個別の11人」に続いて今度は「傀儡廻」と対決します。名前から分かる通り、人形遣いのこのシリーズでの潤色こそ傀儡廻です。破損した女性型義体が眉一つ動かさず発する家弓かゆみ家正いえまさの声が、本能的に共存できないと感じさせる不気味さを醸し出していた『GHOST IN THE SHELL』の人形遣いに比べると、SSSの傀儡廻は子供を誘拐しまくってたり、トグサに激おこだったり、小物感が目立ちます。そもそも劇中でふわっとしか言及されないし、笑い男とかクゼとか、少佐にとって重要な人格が集まって生まれたくせに、少佐にもあんまし興味持ってもらえなくてちょっと傀儡廻、可哀想だなって思いました。

家弓家正 数々の悪役、クリストファー・リーやドナルド・サザーランドの吹き替えでお馴染みだった声優さん、残念ながら2014年に他界されました。人形遣いの声も『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』では榊原良子氏に変わってしまっています。

「傀儡廻? それよりネットは広大だし9課に戻るわバトー」

※3D版もあるみたいで、上記はその予告。

『攻殻機動隊 SAC_2045 (2020)

作品内の時期: 2045年

出来たてホヤホヤの最新作はフル3DCGアニメ。しかも、ピクサーとまでは言いませんが、割かしほんわかテイストの造形なんですよね(笑)。くりくりのお目々で文字通り丸みを帯びた少佐、ちょうど同時期にリメイクされた『聖剣伝説3』にもそのままヒロインとして登場できそうな雰囲気です。でもその声はいつもの田中さん。他のメンバーも見た目こそツヤツヤしていますが声は変わらないので、3DCGということは思いのほか気になりません。違和感で言ったらむしろARISEの方が……
3DCG化で気になったのは見た目よりむしろ動きの方なんです。ケレン味のない地味な動き、良く言えばリアルな動きではあるんですが、そのくせ妙にスムーズで、24コマのフィルム映画を見る時にTVのフレーム補間機能をオフにするのを忘れてしまったような居心地の悪さを動きにちょっとだけ感じてしまいました。

攻殻機動隊 SAC_2045

作品内の時間ではSSSから10年ほど経過し、9課は既に解散。トグサは日本に残り、それ以外のメンバーは海外で傭兵になっています。再び9課として再編していく話です。考えてみるとこの人達いつも解散しては集まってますねw
「9課は滅びぬ、何度でも蘇るさ!」

新キャラのプリンは可愛いですが、ちょっとあざとすぎるのはCGの動きのせいでそうなってしまっているのか、意図したものなのか。これまでのSAC作品に比べるとタチコマが活躍しなかった気がするのと、話が盛り上がってきたところでクリフハンガーのまま終わってしまったのが残念ですが、シーズン2の製作は決定しているようです。
あと、話数が少ないせいもあるとは思いますが、過去のTVシリーズのように一話完結のエピソードの裏で徐々に本筋が進んでいくという構成ではなく、ただひたすらにメインストーリーを追う形になっているので物足りなさも感じました。色々書いてしまいましたが、個人的にはARISEより好きです。ギャルゲーちっくな少佐も、これはこれでなかなか。見た目の可愛さといつもの田中さんの声のギャップがイイですね。でもま、ぶっちゃけてしまえば傑作には程遠いです。TVシリーズが良く出来すぎてるんです。

ときにトグサと嫁さん、この時系列では時折り登場し、第二子が誕生したり、公安9課であることを明かしたりと、厳しい世界にいる割にはうまくやってたのに、別れちゃったみたいですね😣

ARISE 時系列

『攻殻機動隊 ARISE (2013-2014)

作品内の時期: 2027年~2029年

少佐が公安9課として活動するようになるまでの比較的早い時期を劇場作品4話で描くシリーズ。前髪パッツンで性格も身体能力もまだまだ荒削りな“三佐”だったり、最初はほとんど敵同士なバトーだったり、やたらめったら怒ってる課長だったりを新鮮な気持ちで見ることが出来ます。
しかし、主要メンバー全員の声優陣も刷新されてしまったのがこのシリーズ。少佐については義体が違うから声も違うんだろうと納得できるものの、同じ容姿のくせに全く違う声で喋る9課の面々に違和感バリバリ。比較的近年の作品なのでクオリティは高く、アクションなども見応えはありますが、特にSACを含めた流れで見てしまうとやはり…… 最後までバトーとトグサには慣れませんでしたね…… あと何故かサイトーは性格も劇的に変わってて、スナイパーらしい寡黙な男だったはずがギャンブル狂、殺人狂みたいな感じになってるんですよね。髪型もクソダサいし。

ARISE

もしARISEシリーズも楽しみたいなら、このシリーズから見始めるのも手からも知れません。原作だろうが映像化だろうが、人間どうしても最初に見た方を気に入ってしまうものなので、先に見ておけば変更点も気にならないかもと…… 声優やキャラクターの変更を抜きにすれば、作品としては卒なくしっかり作られているので。テクノテクノした音楽もノリノリです。

でもこのシリーズのタチコマもとい、ロジコマ(CV:沢城みゆき)は相変わらず可愛いです。
命令は、了解されました!

攻殻機動隊 新劇場版 (2015)

作品内の時期: 2029年3月

攻殻機動隊 新劇場版

ARISEの続きを描く劇場版作品。相変わらずトグサの声がコレジャナイんですが、全体としてはしっかりアクション映画の体をなしていて、冒頭掴みの戦闘シーン、中盤で盛り上がる敵船舶への突入シーン、そしてクライマックスのボス戦では王道[主人公のピンチにかけつける仲間達]をきっちりこなしてくれます。映画としては中ダレせずテンポよく見ることができる作品なので、ARISEの中では一番好きかなー。

いじょ!
2020年5月現在、このページで取り上げた8作品は全てNetflixで視聴できるので、1995年の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』しか知らなかった方もぜひ攻殻機動隊アニメの広大な海にダイブしてみて下さい~。ハマります。

SAC_2045のシーズン2まではまだかかるでしょうし、全作品もう1ループぐらいしてみようと思います。でもARISEはいいや…… 実際のところ、ARISE公開時の評判ってどんなだったか気になります。SAC_2045はビジュアルが発表されたときから「なんだこの少佐は……」って言われて、本編が公開されしばらく経ち評価が固まってきた今も賛否両論。ARISEもビジュアル全然違うし、SAC_2045と似て相当の賛否両論があったと思うんですが……

【おまけ】『Ghost in the Shell (2017)(実写作品)

どの時系列にも属しませんし、ハリウッド映画化作品のご多分に漏れず失敗作と評されがちな作品ですが、観る価値がないかと言うと全然そんなことは無くて、贅沢な二次創作として十二分に楽しめます。じっさい、この手の実写映画化の中では相当、原作に敬意を払っているものの一つだと思います。もちろんキャラクター設定やストーリーは改変され、ファンからするとどうしても“浅く”感じ、改悪と見てしまう部分もありますが、おかげで初見さん、特にSF映画などに馴染みがない人でもちゃんと楽しめるようになってます。

キャラクターの変更も許容範囲というか、むしろ実写でよくここまで再現したなという仕上がりです。ちょっと肉付きの良くなった少佐や、フツーの目でフツーに登場するバトーに面食らっちゃいますが、吹替版はトグサやイシカワまでちゃんといつものメンバーで演じてくれているので、実写であるということを考えれば驚くほどの違和感のなさ。荒巻課長を演じるのがビートたけしというのも面白いですしね。さすがにハラウェイ検屍官の声は榊原さんじゃなかったけど、目元の義体はちゃんと再現されていました。
相手役は人形遣いとクゼを足して4くらいで割って薄めた感じですが、ちゃんと小山力也さんが吹き替えてくれているので、少なくとも声はかっこいいです。

『GHOST IN THE SHELL』『イノセンス』の代名詞とも言えるあの情景を実写できる限り再現したショットは見事だし、車や重火器のデザインもこだわりが見て取れます。特に香港の高層団地を光学迷彩で逃げる清掃員を追うの再現には気合が入っていて、視界を埋め尽くすように迫る高層団地群、僅かな空を横切る機影、謎の水たまり広場、そして少佐の光学迷彩によって一人ダンスを踊るように中を舞う男など、同シーンを見事にトレースしています。

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