【感想】NETFLIX映画「ネクストロボ」映画は面白いのに、日本だけのエンディング曲そしてタレント吹き替えの足音……😨
今度のNETFLIXオリジナル映画の新作はピクサーやドリームワークスのような3Dアニメーションです。実写と同じくクオリティ高し。その名は『ネクストロボ』。この手のジャンルにしては意外な感じのする中国との合作っぽく、背景や小物などそこかしこに漢字や中国っぽさが垣間見えますが、ハリウッド大作と比べ何ら見劣りする部分はありません。
概要
2018年のNETFLIX映画。今週追加されたばかりです。オリジナル音声は英語ですが、アメリカ以外に中国やカナダとの合作です。スタジオはカナダにあるみたい。もちろん日本語吹き替えもあります。メインキャストの一人を藤原啓治《ふじわらけいじ》さんが吹き替えてるのは素晴らしいんですが、いよいよNETFLIXにもタレント吹き替えの波が…… これは最後に書きますね。
原題『NEXT GEN』、邦題『ネクストロボ』。微妙な違いですし、ロボの方がわかりやすいので納得できる改題です。
監督はKevin R. Adams, Joe Ksanderの二人がクレジットされています。二人とも全く知らないのですが、ポストアポカリプスな世界で小さな人形が戦う『9 ナイン (2009)』なんかを作った人らしく、アニメーションがメインみたいです。
ジャンルとしてはロボ、SF、少女との絆…… まあ、有り体に言ってしまえば『ベイマックス (2014)』です(笑)。ショートサーキット、アイアン・ジャイアント、ターミネーター2だってそうですが、少年少女との交流はロボットものとして普遍の定石ですから。それに、ディズニー特有の説教臭さはだいぶ薄れていて見やすいです。ロボットを{ “モノ”とみなしてガンガンにエグく破壊するのとか、カジュアルに育児放棄するお母さんとか、ディズニー映画では見られないであろうシーンはなかなか面白かったです。
あらすじ
いつも独りのメイは、ぐうぜん見つけた秘密のロボットを起動してしまう。友だちになった2人はいっしょにいじめっ子をげき退! そしてなんと世界一の悪党まで。ネクスト ロボ | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
舞台は近(?)未来。スマホ感覚で一人一台のロボットが当たり前の世界です。それどころか、学校の先生も、家の郵便受けも、ひいてはドア、歯ブラシ、カップ麺もすべてロボットになっています。歯ブラシロボは必ず歯磨きさせようとするので少し怖いですが、カップ麺ロボは起動するだけで勝手に自分を作ってくれて便利そうでした。3分経ったら小躍りしたり、食べてる最中に美味しいでしょみたいなこと言ってくるのでちょっとうざいですが。
主人公は片親の女の子。オーバーウォッチのソンブラみたいな髪型してて可愛いです。その子がひょんなことから違法であるはずの「武器」を搭載したロボットに出会います。ロボットと絆を深めたり、反発したりしながら、必然的に悪者と対峙していくことになります。
大まかな流れはベイマックスですが、登場人物はもう少し少なめ。それから前述の通りディズニーとは感覚が違って、人が死んでそうな派手な戦闘するし、他のロボは躊躇なく爆破、惨殺されていきます(笑)。見た目が子供向けなのにけっこうエグくて、ギャップが面白いです。
おそらくようはベイマックスでしょ? と言われるのを制作側もわかっているのか、主人公が初めて相棒となるロボに出会った時のセリフが「親友になって一緒に自分探しのたびに出る?(あほらし)」なんですよね。全体的にそういったものをメタ的に捉えながら、ほんの少しだけ斜に構えてはいるんだけど、全体的には王道の展開に逆らえない作風が可愛いなぁとも思いましいた。
キャスト
アニメ映画ですので声優さんになりますが、僕でも知っている方が数名出てました。主人公の女の子の声はCharlyne Yi《シャーリン・イー》。ドクターハウスのシーズン8でチ・パク医師をやってたアジア系の顔をした面白い女優さんですね。コメディアンなんでしたっけ。
それから飼い犬のモモの声はずーっと聞いたことあるなーってモヤモヤしてたんですが、それもそのはず、Michael Peña《マイケル・ペーニャ》でした。ちょうど『アントマン&ワスプ』を先週見たばかりだし、NETFLIX映画『エクスティンクション』での印象もまだ強いです。
あとスティーブ・ジョブズのようなステレオタイプIT企業CEOを演じてるのはJason Sudeikis《ジェイソン・サダイキス》。『モンスター上司 (2011)』『なんちゃって家族 (2013)』などコメディの印象が強い俳優ですが、アン・ハサウェイと共演した『コロッサル(シンクロナイズドモンスター) (2016)』のような悪役もこなします。ちなみに、このキャラクターの吹き替えが藤原啓治さんです。ロボット企業のCEOということで、アイアンマンのトニー・スタークを思い出します。
感想
絵的には3Dアニメーション映画としては抜群のクオリティで、少なくともピクサー、ドリームワークス、イルミネーションといったAAAクラスに引けを取りません。ロボットの顔となるディスプレイが蛍光表示管っぽくて、書き換えにわずかに遅延のある感じとか最高です。
ストーリーもアウトラインは人間とロボットの交流ものとして王道的な展開で、安心して観ることができました。
しかしながら王道なのはアウトラインだけで、その中身は 「子供向けっぽい顔してるけど絵的にはかっこうエグくない?」というところがドリームワークスのノリに近かったです。だって自分以外のロボットすげぇ壊す、惨殺する、爆破する、ようするに殺しまくる(笑)。それらの殺されるロボットがけっこう可愛く喋ってて罪もない感じに描かれてるので、めちゃくちゃ可哀想なんですよね。最初は引いてしまいましたが、あれだけ喋っても所詮ロボットは物であると割り切ってるのはデジタルネイティブ(ロボットネイティブ)な主人公だからなのかもしれません。あと、子供って純粋さゆえの残酷な部分ってあるので、他のロボットを破壊することに躊躇のない感じはあれでけっこうリアルな描き方なのかもなーと思いました。
先程触れましたがお母さんのキャラクターも。育児放棄状態で、引くぐらいロボットに夢中でしたね。最終的には喪失感から我が子と向き合えてなかった、ということがわかるんですけど、この手の映画にしては妙にリアルというか。スマホに夢中で我が子を放置してしまう親なんて話があったりなかったりしますが、そういうのを反映した感じのキャラクターでした。ということは中国やアメリカでもそういう親がいるのかな?
そんな感じで、純粋に子供向け映画としてみるにはいやにリアルな部分が垣間見える映画でしたが、一方で戦闘シーンなんかは制作スタッフのアクション映画好きさが垣間見えるというか、好きすぎて隠せてないというか。かっこいいは正義、みたいなカットが多くてニヤニヤしてしまいました。
ロボットの腕が初めて武器に変形する時のスローモーションはもろトランスフォーマーのオマージュだし、必ず糸を引いてるミサイルと言い、敵ロボのアーマー装着後の造形と言い、マクロス絶対好きでしょみたいな。主人公が落ちた先にあったポスターにも“マクロスバトル”って日本語で書いてあったし(笑)。
ロボットものの王道である自己犠牲も描かれていたんですけど、この作品では今ひとつグッと来なかったですね。前述のように他のロボットを破壊しまくっているので、ロボットが破壊されること自体にあまり感慨がなくなってしまっているというのが一つ。それからロボットが主人公を好きになった理由があまり描かれていない(のっけから何故か彼女だけ大切にする)のと、交流の描き方がピクサーほど上手くないので、彼女との思い出が消えてしまうとなってもあまり感動できませんでした。
あともう一点気になったのは読書家のいじめられっ子の女の子だなー。あの子はなんのために出てきたキャラクターなんだ……?
というわけで、部分的には若干《じゃっかん》惜しいなと感じてしまう部分もありつつ、全体的なクオリティは非常に高め、ストーリーもわかりやすくて、見た目の割にはけっこう本格的なメカメカしいアクションも楽しめる、おすすめの3Dアニメーション映画なのでした。
バカそうな犬のモモの扉ネタはすごく丁寧で好きです。
あと、ラストバトル後、ロボの記憶がすっかり消えてしまったあとの悪役の再登場、怖くなかったです? 短いカットだけど、自分で顔を持ち上げるところとか子供の頃に見たらトラウマになりそう……
ああ、それから、最後に書かなきゃいけないことがあって。記事タイトルのことなんですが。
Dream Amiが「ネクスト ロボ」のエンディングソングに決定!
っていうプロモーションの仕方をやってるんですね、NETFLIXさんが。Dream Amiさんというのは日本人アーティストなわけです。映画ファンであればなんとなくやな予感しかしないですね😅
そう、日本だけエンディング曲違うやーつですよ!! お前もか、ネットフリックス。
別にDream Amiさんの曲がどうとか、そういうことではないんです。なぜディズニーの悪いところまで真似してしまったのか。エンディングにこの曲をねじ込んだのが果たして制作の意図なのか、日本側のNETFLIXの余計なお世話なのか、はたまたDream Amiさんの事務所なのかはわかりません。 ただ、ほんとに日本語吹き替えだけなんですよね、この曲なの。韓国語もポルトガル語もオリジナルと同じGrace VanderWaalのClearlyという曲が流れます。完全におま国なので、制作がわざわざ日本だけ曲を差し替え得たというのはなさそうです。もしそうなら何日本語の曲じゃないからって日和ってんねん、こちとらビートルズだってちょー流行ってるからね(例えがちょっと古いですかね)って話だし、日本のNETFLIXがやったなら本当にクソ余計なお世話でしかないわけです。
もう一つ本当に残念なお話をしますと、犬のモモの吹き替え、劇団ひとりさんです…… ああ、出たよ、ついに出たよタレント吹き替え。恐れていたことがNETFLIXに起きてしまったよ。劇団ひとりは好きだよ、完売劇場のころから。春樹先輩ちょー面白いよ。そうかー、好きな劇団ひとりが吹き替えやってるからこの映画見よ、ってなるかーい!! って話ですよ。
今回はあまり喋らない、喋ってもほとんどFワードで罵倒してるだけのキャラクターだったから良いものの、今後NETFLIX映画にこうした波が押し寄せてくることはもはや想像にかたくありません。そういえばマイケル・ペーニャはアントマンでも芸人に吹き替えされて可哀想だなぁ…… MCUって本当に吹き替えは地獄ですよね。
映画ファン、そして吹き替え声優ファンが安心して吹き替えも楽しめる場だったNETFLIX、これからどうなていってしまうのか、映画の内容とは一切関係ないところで本当に不安になってしまったのでした。終わりの始まりでないことを祈るばかりです。
この記事はここで終わりです。
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