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【3Dプリント】 Prusa Slicer のインフィル早見表


Prusa MINI の組立工程の次はキャリブレーションの様子でも書こうと思っていたんですが、先にこちらが書き上がってしまったので、順序があべこべですが先にこちらを公開したいと思います。

念願のFDM 3Dプリンタ Prusa MINI を手に入れ、目立ったトラブルもなく順調にプリントできているのですが、SLAとはちょっと違う “フィラメント一筋サイズのサポート”や、レジンには無い概念である “インフィル”などはまだ勝手がわからず手探り状態です。どれくらいの充填率にすれば良いのか、豊富にあるインフィルの種類はどれがいーのか。

というわけで、 Prusa Slicer で指定できるインフィルパターンをまとめてみました。

インフィルパターン

Prusa Slicer 2.2 で指定できるインフィルパターンは13種類。これらをそれぞれの立方体に設定し、内部を覗いてみた結果はこんな感じでした。パターンをわかりやすくするため、いずれも充填密度は低めの10%です。

上面図
上面図
アイソメ
アイソメ

上記画像は5mmの高さでの断面図ですが、静止画だけだとわかりにくいので、下から上までの断面図を動画でもどうぞ。

直線的とグリッドは大きさがちがうだけ?

格子状のパターンという一番シンプルなインフィルが 直線的グリッド の2つなのですが、大きさが違うだけに見えます。そのくせ使用フィラメントはほとんど変わらない。そんな馬鹿なと思ってよくよく観察してみると、直線的 ではレイヤーごとに一定方向にしかインフィルが敷かれていません。つまり、横方向の平行線があるレイヤーと、縦方向の平行線があるレイヤーが交互に存在し、結果的に格子状に見えているだけ。なるほど確かに 直線的 でした。
つまり、Z軸方向に1レイヤーごとに隙間が出来ているわけですね。実際は溶けたフィラメントが乗るのできっちり隙間ができるわけではなく、ふんわり接続されたような形になります。

一方の グリッド は同一レイヤー内で横方向にも縦方向にもインフィルが存在し、文字通り格子状のパターンになっています。直線的 と違ってZ軸方向も隙間なく積んでいく感じ。この構造の違いにより、使用フィラメントが少なそうに見える グリッド も、実際は 直線的 とほとんど同じ量を消費するわけですね。なるほどー。

8種類は2次元的なパターン

13種類のうち、直線的グリッド三角形スター型ハニカムヒンベルト曲線アルキメデスコードオクタグラムスパイラル の8種類はどの高さでスライスしても同様、つまり2次元的なパターンで、それが垂直に掃引されるだけでした。(厳密に言えば 直線的 は前述の通り、1レイヤーごとに交互なので同様というわけではありませんが。)上面図で見ると、どこまで行っても最下層レイヤーが見える部分がある形です。
素人的な印象としては、これらは負荷がかかる方向で強さが大きく異なりそうな気がします。

3次元的なインフィルは5種類、うち立方体でも3次元になるのは3種類だけ

高さによって異なるパターンを描く3次元的なインフィルは 立方同心円3Dハニカムジャイロイド の5種類ですが、同心円 の2つは断面形状によってパターンが異なる仕組みです。直方体やシリンダーように底面を垂直に掃引しただけの断面図が変わらない形状では3次元的なインフィルにはならず、同じパターンが垂直に伸びるだけです。

残りの 立方3Dハニカムジャイロイド は断面形状が同じでも、常に3次元的なインフィルパターンが形成されます。ただし動画を見るとわかるのですが、ジャイロイド3Dハニカム に関してはパターンの都合上、常にインフィルが到達しないエリアがありました。10%という低い充填率のせいですが、立方 であれば低い充填率でもあらゆる方向にインフィルが行き届いていることがわかります。

というわけで、インフィルのパターンだけを見る限り、立方 一択? ……と言う単純な話でもなさそうです。

フィラメント使用率

パターンの形だけ見ると立方でいーんじゃないの?」で終わってしまいそうなので、それぞれのパターンでフィラメントをどれくらい使うのかも調べてみました。

10cmの立方体キューブをそれぞれのインフィルパターン、4段階の充填率でスライスしたときに Prusa Slicer に表示される使用フィラメントは下記の通りとなりました。

使用フィラメント(m)

インフィルパターン10%40%70%100%
直線的64.19m181.98m299.71m416.5m
グリッド67.50m185.33m303.06m-
三角形67.11m185.74m303.67m-
スター型67.14m185.71m303.68m-
立方67.09m185.55m303.68m-
62.83m181.66m300.42m-
同心円64.31m181.94m299.62m415.6m
ハニカム75.84m213.4m327.15m-
3Dハニカム95.44m320.24m539.91m-
ジャイロイド61.28m172.32m275.66-
ヒンベルト曲線60.95m178.63m296.36m413.65m
アルキメデスコード60.8m178.63m296.38m413.69m
オクタグラムスパイラル60.92m178.59m296.37m413.63m

使用フィラメント(g)

インフィルパターン10%40%70%100%
直線的191.44g542.78g893.91g1242.23g
グリッド201.33g552.75g903.9g-
三角形200.17g553.98g905.7g-
スター型200.26g553.89g905.74g-
立方200.11g553.41g905.74g-
187.39g541.81g896.02g-
同心円191.8g542.65g893.62g1239.55g
ハニカム226.2g636.46g975.75g-
3Dハニカム284.66g955.14g1610.3g-
ジャイロイド182.76g513.97g822.17g-
ヒンベルト曲線181.77g532.78g883.9g1233.74g
アルキメデスコード181.33g543.79g883.97g1233.85g
オクタグラムスパイラル181.71g532.65g883.94g1233.68g

わかったこと

充填率100%が指定できるのは5種類

まず、100%の充填率を指定できるのは 直線的同心円ヒンベルト曲線アルキメデスコードオクタグラムスパイラル の5種類のみというのがわかりました。

充填率は体積に対する比率ではなさそう

また、同じ充填率でもパターンによって使用フィラメントにかなりの差があることから、充填率はあくまで充填率であり、 “オブジェクトの体積のうち何%が充填される”という意味ではないことがわかります。多分たぶんですけど。
ちなみに、充填率は一般的に10%〜15%で十分らしいです。30%以上が必要になることは滅多に無いとも。素人的には30%以下という数字だけを見るとどうも弱そうな気がして、10cmを超える高さのオブジェクトを 立体 30%で印刷したんですが、まーとにかく時間がかかって大変でした。丸一日以上。完成品の強度を実際に触ってみても、もっとスカスカで大丈夫だったなと。

ハニカムは使用フィラメント多め

そんな発見があったところで全体を見渡してみると、ハニカム、特に 3Dハニカム のフィラメント消費の多さが目立ちます。他のパターンの倍近い消費量というのはなかなか躊躇ちゅうちょする量かも。 “ハニカム構造”などと持てはやされるように、その分充填率を下げても強度が高い…… のだとは推測しますが……

とりあえずジャイロイド?

一方、前段の可視化で縦横無尽にインフィルされることがわかった 立体 は他と比べても目立って消費が激しいということもなく、やっぱり 「とりあえず立体にしておけば問題ないんじゃ……」という印象です。
しかし、フィラメントの消費が一番少ないパターンは ジャイロイド でした。Prusa Slicer のマニュアルにも、「ジャイロイドは最高のオールラウンドインフィルのひとつ」と書かれています。

Gyroid is one of the best all-round infills.
Prusa Knowledge Base | Infill

理由としては、3次元的なパターンであり全方位からの力に強いこと、同一レイヤー上でパターンが交差しないこと、重量と強さのバランスが良いことなどが挙げられています。確かにパターンが交差しないというのは 立体 に無い特徴で、交差部分はそれだけ力が集中するウィークポイントな気もします。全方向から反対側が見えなくなるよう埋まるので 立体 がいいのではという気になっていましたが、フィラメントの使用量なども考慮すると、とりあえず ジャイロイド にしておけば間違いなさそうです。

予測プリント時間

Prusa Slicer はプリントの予想時間も表示してくれるので、一応そちらも集計してみました。ハニカム がフィラメント使用量に比例して時間がかかるのは自然ですが、ジャイロイド は充填率70%で予測時間が跳ね上がるという不思議な結果になっています。一方、直線的 が70%でも高速なのは、直線が長く、プリントヘッドの方向転換が少なくて済むからでしょうか。同心円アルキメデスコード も、比較的短い時間で済むのは曲がり角が少ないからと言えそうです。

インフィルパターン10%40%70%100%
直線的12h 34m1d 5h 58m1d 23h 5m2d 15h 48m
グリッド13h 5m1d 6h 47m2d 0h 1m-
三角形13h 30m1d 9h 4m2d 4h 17m-
スター型13h 43m1d 9h 4m2d 4h 10m-
立方13h 40m1d 9h 6m2d 4h 12m-
12h 20m1d 5h 45m1d 23h 3m-
同心円13h 8m1d 6h 3m1d 23h 26m2d 16h 31m
ハニカム22h 28m4d 3h 43m5d 13h 0m-
3Dハニカム20h 49m4d 1h 7m6d 4h 35m-
ジャイロイド15h 31m2d 21h 12m6d 3h 50m-
ヒンベルト曲線18h 34m3d 5h 55m6d 7h 22m8d 9h 10m
アルキメデスコード13h 32m1d 9h 13m1d 22h 48m2d 15h 40m
オクタグラムスパイラル16h 2m1d 13h 44m2d 11h 55m3d 10h 3m

ちなみに、70%くらいになってくると、パターンによってはスライスにかかる時間もとんでもないことになるので、実用的ではなさそうです。やはり全体的には低い密度で、ネジ穴周囲の補強など部分的に高密度にするのが良さそうです。それでも70%みたいな数字はほとんど使わなそう。

カプセル形状の場合

前述の通り、立方体は掃引体なので、同心円 が2次元的なパターンになってしまいます。断面形状がある程度変化するカプセル(シリンダーの上下に半球のついた形状。Unity でお馴染み)をスライスした様子もどうぞ。

同心円 において、断面図が変化する部分ではパターン形状が異なり、一応3次元的なパターンになっている事が確認できるかと思います。一方、2次元的な8種類のパターンは断面図に関わらず常に一定です。

ところで、同心円 は半球の部分で中心に近いインフィルが明らかに空中に浮いてしまっているように見えるのですが、大丈夫なんでしょうか……

というわけで、Prusa Slicer のインフィルパターンまとめでした。結論としてはジャイロイド にすればヨシ!」で終わってしまうんですが、面積の大きいプレート状のものをプリントする時なんかは、ヒンベルト曲線 なんかもイイですよね。だって、プリントヘッドが広大な面積を一度も交差することなく一筆書きで埋めていく様子、無限に眺めていられると思う……

そして Prusa Slicer ではオブジェクト単位はもちろん、部位ごとにインフィル設定を変えたり簡単にできます。接合部はガッチガチに ジャイロイド 50%、他のエリアは消費少なめ、印刷も速い 立方 10%くらいでテキトーになんてちまちま設定して、印刷時間がたった5分でも短くなると、なんとも言えない快感です。パズルゲームっぽい。

さらに現在α版の Prusa Slicer 2.3 では、Adaptive CubicSupport Cubic という2種類のインフィルが追加されているようです。詳細はよくわからないのですが、どちらも 立方 ベースで形状に合わせて変化して頑丈になるっぽいです。楽しみ。

いじょ!

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